最新記事

シンガポール

これはひどい! ミス・ユニバース代表の「米朝首脳会談ドレス」に非難ごうごう

2018年12月3日(月)12時38分
大塚智彦(PanAsiaNews)

年末の紅白歌合戦にも出場できそう? Channel NewsAsia / YouTube

<シンガポールでミス・ユニバースをめぐり賛否が巻き起こっている。世界大会用に用意されたドレスのデザインがとんでもないシロモノだったからだ>

12月16日にタイの中部バンコク北西部にあるノンタブリー県ムアントンタニで開催される「ミス・ユニバース世界大会」に出場するシンガポール代表が着用する衣裳を巡ってシンガポール国内で賛否(賛成は少数)が渦巻いている。

ドレスのデザインは、背中に大きな鳩のような白い羽をあしらい、下半身を覆う半円形のスカート状の衣装前面には、北朝鮮国旗と米国旗が描かれた腕が左右から伸びて下半身の中央で握手しているというものだ。

これは2018年6月12日に、トランプ米大統領と金正恩・朝鮮労働党書記長による初の米朝首脳会談がシンガポールで開催されたことにちなんだものだ。

シンガポールはこの首脳会議が自国で開催されたことを「世界平和に貢献する歴史的出来事」として自国開催を自画自賛。結果としてあまり実質的な成果のなかった首脳会談だったのにかかわらず、メディアも開催前から現在に至るまで「会談実施の歓迎と評価」を大々的にアピールしている。

さて、この「奇抜」なデザインの衣装を「ミス・ユニバース」のシンガポール代表として世界大会の場で着用するザラ・カナムさん(24)は「まるで天使のようなイメージで真の世界平和を象徴しているようだ」と歓迎するコメントを発表した。

ところが11月29日にこの衣装が公表された直後からインターネットを中心に国民の反応が寄せられ、その大半がデザインを酷評する批判だったという。

政府による報道管制で当局を批判することがほとんどないシンガポールのメディアの中にも「この衣装を着用する代表があまりにみじめだ」という論調を展開するところも一部ででるなど国を挙げて「非難ごうごう」となっている。

有名デザイナーの発案

この問題となっている衣装のデザインを手がけたのはシンガポールでは有名なデザイナー、モエ・カシム氏(48)でミス・ユニバース代表の衣装を3年連続で担当している実績がある。カシム氏は「世界平和を希求する美のクイーンをイメージした」と説明。製作に約3カ月を要したという。

衣装はロイヤル・ブルーガウンと称され、米朝国旗をあしらった腕による握手が描かれた下部にはシンガポールを象徴するマーライオンやマリーナベイサンズなどが小さく描かれている。

こうしたデザインに国民からは「シンガポールが誇れるのは会談の開催場所になったことだけなのか」「シンガポール国旗がないのはおかしいだろう」「ダサくて醜く、センスを疑う」などと激しい批判の嵐が吹き荒れている。

地元メディアにはデザイン発表からわずか6時間の間に約500件の反響が寄せられたが、その大半は否定的な意見だったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中