最新記事

マリファナ解禁

カナダ大麻合法化でも、闇市場で買うしかない人々

Canadians Already Complain Legal Weed Is Too Expensive

2018年10月18日(木)16時53分
ジェイソン・レモン

合法化でかえって吸えなくなる?Carlos Osorio-REUTERS

<待ちに待った大麻合法化だが、値段が高過ぎて買えない、という人が続出>

カナダは10月17日、娯楽目的の大麻(マリファナ)の所持・使用を全国一斉に合法化した。世界で初めて国家レベルで大麻を解禁した2013年の南米ウルグアイに続き、2カ国目。先進国としては初めてとなる。

大麻解禁日の17日には、購入希望者が大麻販売店に列を作った


大麻解禁を祝うトロントのパーティー。タバコと同じく屋内では吸えないので外で吸っている


だが、合法大麻は闇市場で買うより高額だ、という不満がさっそく一部で出ている。イプソスとカナダのテレビ局グローバル・ニュースが実施した最新の世論調査でも、国民の約10人に4人は、政府が許可した小売店で買うかどうかは今後の価格で決める、と回答した。

「合法大麻を買いたい!でも今買ったら、価格は(闇市場の)ほぼ2倍だ」とカナダ人の大麻使用者が米ニュースサイト「レディット」に投稿した。「誰がこんな価格設定にしたんだ?」

「(小売店の価格を)今チェックしたら、ブルードリーム(インディカ種とサティバ種の雑種)が1グラム当たり12.31米ドルだった。ありえない!」という投稿もあった。「長年、闇で買ってきたブルードリームは1グラム当たり5.49米ドルで手に入った。これじゃ闇市場はなくならない」

「闇市場があるのが救いだ!」と投稿したユーザーもいた。

イプソス/グローバル・ニュースの世論調査によれば、国民の約10人に3人(36%)は、合法化される前の取引先から今後も大麻を購入すると回答。取引相手を変えると回答した人はわずか14%だった。

闇市場を壊滅させる狙いも

カナダでは闇ルートが発達してきたことから、もし合法大麻が高額すぎれば、世論調査の結果通りに多くの人が闇市場で売買を続ける可能性がある、と、イプソスの広報副部長ジェニファー・マクラウド・メイシーはグローバル・ニュースに語った。

だが、合法大麻の値段がいくら程度に落ち着くかは、まだ様子を見る必要がある。カナダでは、大麻の価格、販売場所、購入方法などが州によってまちまちだ。闇市場における価格にも地域によって大きな差がある。相場の全体像や闇市場との価格差などはこれから徐々に明らかになるだろう。

カナダ西岸部ブリティシュ・コロンビア州では、合法大麻1グラム当たりが6.99~13.99カナダドル(5.38~10.77米ドル)になる、とカナダのCTVニュースは伝えた。カナダ統計局によれば、2017年に同州の住民が医療目的以外の用途で購入した大麻の平均価格は、1グラム当たり6.94カナダドル(5.35米ドル)だった。

「合法大麻の価格が闇市場と同じになるか、少し高めだったとしても、闇取引には大きな打撃になる」と、カナダのマクマスター大学マイケル・G・デグルート医学部の大麻専門家、マイケル・アムラング准教授はグローバル・ニュースに語る。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国企業、28年までに宇宙旅行ビジネス始動へ

ワールド

焦点:笛吹けど踊らぬ中国の住宅開発融資、不動産不況

ワールド

中国人民銀、住宅ローン金利と頭金比率の引き下げを発

ワールド

米の低炭素エネルギー投資1兆ドル減、トランプ氏勝利
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中