最新記事

北欧

スウェーデン「ロシアの軍事作戦」を警戒

在スウェーデンのロシア人特使の3分の1はスパイで、最大の脅威だと公安警察が警告

2015年3月19日(木)14時53分
ルーシー・ウェストコット

狙いは何か ロシアの諜報活動が活発化したのはウクライナ問題以降(クリミア半島のセバストポリに停泊するロシア海軍の艦船) Maxim Shemetov-Reuters

 スウェーデン国内でのロシアのスパイ活動がここ1年で活発化し、安全保障上の最大の脅威になっていると、スウェーデンの公安警察(SAPO)は18日に発表した年次報告書で指摘している。

 スウェーデン駐在のロシア人特使の3分の1はスパイで、政治難民、国防、経済に関する情報を収集していると、公安警察の主任アナリスト、ビルヘルム・ウンゲは報告書発表の記者会見で語った。ウンゲによれば、スウェーデンで最も活発に諜報活動を行っているのはロシアで、イランと中国がそれに続くという。

「ヨーロッパ各地と西側にはロシア人の情報将校が何百人といる。彼らは日々、われわれの領土を侵犯している」と、ウンゲは首都ストックホルム近郊のソルナにあるSAPO本部で語った。「ロシアの活発な情報収集活動は、わが国に対する軍事作戦の準備としか解釈のしようがない」

 ロシアのスパイ活動が活発になったのは、ウクライナ東部で政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘が始まってからだと、ロイターは伝えている。スウェーデンはウクライナ問題でのEUの対ロシア制裁を支持する側。昨年10月、ストックホルム沖でロシアの潜水艦が活動している疑いが持たれ、ロシアに対する警戒感が一気に高まった。

 SAPOの年次報告書はテロの脅威についても触れ、シリアに渡航するスウェーデン人がテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)に加わる危険性が引き続きあると指摘。難民の大量流入も安全保障上のリスクになると警告している。スウェーデンの人口は960万人だが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、14年7月時点で難民申請者は16万6902人に上った。難民に紛れたごく少数の過激派がスウェーデンで攻撃を行う可能性があり、厳重な警戒が必要だとSAPOは見ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 7

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 8

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中