最新記事
大谷の真実

「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の言葉を信じたのか? 現地記者たちが語った本音とは

DOES THE MEDIA BELIEVE OHTANI?

2024年4月2日(火)16時00分
小暮聡子(本誌記者)

newsweekjp_20240402034638.jpg

3月24日の対エンゼルス戦に詰めかけた報道陣 KEITH BIRMINGHAMーMEDIANEWS GROUPーPASADENA STAR-NEWS/GETTY IMAGES

──大谷選手が言っていることを米記者たちは信じている様子だったか。

うのみにはしていない。会見での話は筋が通っているから納得はできるが、「もし、大谷が言っていることが真実ならば」という話し方だった。ただ、大谷選手の声明に万が一でも嘘があるかどうかと考えると、既に捜査が入っている状況ではよほど大丈夫だと確信しない限りはそんな声明は出さなかっただろう、と。なので「そういうことなのかな」という気持ちにシフトしているように感じた。その代わり、「誰かが嘘をついている」という思いはまだ拭い去れないようだった。

──会見での大谷選手の様子は。

真剣だった。普段の大谷選手はリラックスしている表情が多いので、「今日は言うんだ」という覚悟と、内容的につらいんだろうな、というのを感じさせる神妙な面持ちだった。怒りをあらわにする一歩手前くらいの、怒りをぐっとこらえた感じ、というか。米記者の中にも、「あんなふうに、怒る一歩手前でノーマルじゃないな、という雰囲気の大谷は初めて見た」と言っていた人がいた。

私が一番圧倒されたのは、ドジャースの面々が大谷選手に続いて会見室に入ってきたことだった。球団社長、ゼネラルマネジャー、編成部長ら球団幹部に監督、ベテラン選手2人など10人以上が大谷選手のすぐそばの壁側に並び、うなずくでもなく、真剣にじっと大谷選手を見ていて、しっかり見届けようという雰囲気だった。ドジャースとして、大谷選手をサポートしているところが見受けられた。

さらに驚いたのは、大谷選手がこの会見のすぐ後に、投球プログラムに出てきたこと。リハビリの次のステップがキャッチボールなど「投げる」ことだが、会見の本当に数分後にグラウンドに出て投げていた。大谷選手が投球プログラムを再開したというのはとても大きいニュースであり、報道陣は次に投げるのはいつなのかと待っていたので、それをこのタイミングで持ってきたか、と。

みんな会見対応で忙しく、会見後はすぐに原稿を書きに出て行ったので見逃している人もいて、「大谷が出てきた、嘘でしょ?」という動揺があった。あの状況で投球プログラムをやってみせてしまうところがすごいね、という声も上がっていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール航空機、乱気流で緊急着陸 乗客1人死亡

ビジネス

アストラゼネカ、30年までに売上高800億ドル 2

ビジネス

正のインフレ率での賃金・物価上昇、政策余地広がる=

ビジネス

IMF、英国の総選挙前減税に警鐘 成長予想は引き上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル写真」が拡散、高校生ばなれした「美しさ」だと話題に

  • 4

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 5

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の…

  • 6

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 7

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 8

    中国・ロシアのスパイとして法廷に立つ「愛国者」──…

  • 9

    「韓国は詐欺大国」の事情とは

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中