最新記事
資産運用

「月5万」の積立投資は、30年後いくらに? 新NISA時代に「個人」が知るべき資産とリスクの基礎知識

A New Era of Investing

2023年12月27日(水)18時20分
加谷珪一(経済評論家)

231205P20illust_radio_s.jpg

ILLUSTRATION BY TARTILA/SHUTTERSTCOK

40代で400万円程度の平均的な年収の人は、現時点で月15万円程度の年金を受け取れているが、20年後には12万円程度に下がる可能性が濃厚である。持ち家を有していない場合、この金額で生活するのは難しく、可能な限り就労を続けるとともに、まとまった額の資産を持ち、それを安定運用することで得られる利子や配当の収入を生活費に充当するのが、今後の標準的な老後生活となるだろう。

月5万円の投資が30年後には

ではこうした状況下で、私たちはどのような投資を行えばよいのだろうか。より重要性を増しているのは、リスクの高い投資を行って短期間で大きな利益を得るのではなく、少額投資を長期にわたって積み上げていくという考え方である。まとまった投資資金を用意できる人はごく少数であり、多くの国民にとって現実的なのは、毎年一定額を捻出し、それを投資に回していくという積立型である。この考え方は、毎年少しずつ貯金をしていくという従来の手法をそのまま投資に応用したものと考えてよい。

投資にはさまざまな対象が存在するが、投資の王道はやはり株式投資であり、長期的に残高を積み上げていくのであれば、なおさら株式との親和性が高い。加えて言うと、長期で少しずつ残高を増やしていく手法は個人にしかできないものであり、このやり方を活用しない手はない。

過去、数十年にわたる経験則上、平均すると株式投資には約6%の利回りがあるとされている。もちろん市場である以上、上昇相場もあれば下落相場もあり、上下変動はそれなりに激しいかもしれないが、長期的に見れば、株式から得られるリターンは大きい。この数字は国際的にもほぼ合意が得られたものであり、日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も基本的には6%程度を株式投資における標準的な利回りとして投資方針を決定している。

例えば、月5万円ずつ何とか余剰資金を捻出し、年間60万円の投資を30年間続けたと仮定すると、6%の利回りだった場合、30年後の投資残高は何と5000万円を超える。もちろん投資にはリスクがあるので、この金額を上回る可能性もあれば、一方で大きく下回る可能性もあり、5000万円が確定されているわけではない。だが多くの人にとってこの数字の大きさはけっこう驚きではないだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハリコフ攻撃、緩衝地帯の設定が目的 制圧計画せずと

ワールド

中国デジタル人民元、香港の商店でも使用可能に

ワールド

香港GDP、第1四半期は2.7%増 観光やイベント

ワールド

西側諸国、イスラエルに書簡 ガザでの国際法順守求め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中