最新記事

市場

ESG、SDGsも関連して盛り上がる「脱炭素」 アナリストに聞いた注目銘柄

2021年2月1日(月)16時40分
安藤智彦(ジャーナリスト)

DELIORMANLI-ISTOCK

<「バイデン銘柄」の株価は上昇。日本でも注目度が高まっている>

(※1月5日発売の本誌「2021年に始める 投資超入門」特集より。編集部注:一部の情報は2020年12月末時点のものです)

欧州を皮切りに、多くの国で「国策」となった感のある脱炭素の動き。日本でも菅義偉首相が2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを明言するなど、もはや世界の常識とも言えるだろう。

そして、その象徴的な流れを示しているのがアメリカだ。ジョー・バイデン米大統領は温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定への復帰を含め、前任者の方針を180度転換する公約を掲げている。
20210112issue_cover200.jpg
「今後10年というバイデン政権の成長アジェンダが、脱炭素であり環境対応施策。いち早くジョン・ケリー元国務長官を気候変動問題担当の大統領特使に指名したのも象徴的な人事だった」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の新井洋子チーフ・グローバル投資ストラテジストは言う。ケリーは、オバマ政権でパリ協定締結に尽力した人物だ。

「世界の脱炭素化をリードする」とも宣言するバイデンだが、その公約実現のため、就任から4年間で2兆ドルに上る巨額投資プランを打ち出している。

米市場もその流れは既に織り込み済み。「太陽光発電などのクリーンエネルギー関連に代表される『バイデン銘柄』として、2019年あたりから高く買われている」と、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは話す。

太陽光発電事業者のサンランやサンパワーなど、「バイデン銘柄」の米国企業は株価が高止まりの状況が続く。

transaction_accounts_superbanner.jpg

日本でも脱炭素が国策となり、注目度が高まっていくのは間違いない。レノバやウエストホールディングスといった、再生可能エネルギーを手掛けるベンチャー企業の株価も大きく上昇している。

このほか、「一気に脱炭素に振り切るのが難しいこともあり、(電力会社の)Jパワー(電源開発)のように、石炭を使いながら火力発電の環境負荷を低減する技術を持つ企業も注目だ」(広木氏)という。

また、ここ数年で急激に関心が高まっているESG(環境・社会・企業統治)投資の観点からも「脱炭素シフト」は加速していきそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中