コラム

「トランプの国民投票」になる中間選挙で民主党が健闘している説を考える

2022年09月10日(土)15時30分

こうしたことから、民主党は資金調達の面で優位に立っている(通常は政権奪還を目指す野党のほうが多くの資金を集める)。バイデンは9月1日、トランプとその支持者がアメリカの民主主義を破壊しようとしていると主張する演説を行った。機密文書を私邸に持ち出したトランプは、いつ刑事訴追を受けてもおかしくない。

2022年の中間選挙は、2020年に700万票差で敗北したトランプと共和党に対する「もう1つの国民投票」になりそうな雲行きだ。

最近の民主党の勢いは、インフレ抑制法案の成立や記録的な低失業率、学生ローンの減免、バイデンの支持率上昇よりも、トランプの無法と超保守的な反中絶宗教活動家の愚かさが有権者に影響を与えた結果だ。

結局のところどちらが優勢なのか――。最終的に、私は歴史に与する。

民主党の勢いは本物だが、バイデンの支持率が少なくとも55%を超えない限り、下院の多数派を維持するのは困難だろう。

一方、共和党は5~10議席差で下院多数派を奪還しそうだが、上院は20年と同様の接戦になるだろう。その原因はアメリカ人の大半が民主主義の危機を懸念している時期に、共和党が資質に問題のあるトランプ派を党の候補に選んだからだ。

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サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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