コラム

南ア・ブラジル変異株の上陸を阻止せよ! 英「ホテル検疫」破れば禁錮10年と罰金144万円

2021年02月10日(水)12時10分

――ワクチンによる免疫を逃れる可能性のある南アやブラジルの変異株のニュースに落ち込んでいます。ワクチン、ロックダウン(都市封鎖)、社会的距離によってウイルスの変異と戦うことはできますか。私たちの希望は何でしょう

「実は、私はあまり心配していません。あなた自身に自然に備わっている免疫システムはウイルスと戦うのに非常に優れています。ワクチンはこれを助けますが、それらは限られた範囲のウイルス変異体に対してのみ機能します。しかし、あなた自身の免疫システムはすべてと戦うことができます」

「毎年変異し、毎年ワクチンを更新する必要があるインフルエンザのように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は毎年ワクチン更新を必要とするようになる可能性があります。したがってコロナとインフルエンザの季節を暮らさなければならないかもしれません」

ゲノム解析はまだこれから

――次に何が起こるのでしょうか

「ワクチン接種が展開され、より多くの人々が免疫を獲得するにつれて、コロナが流行するシーズンをより予測できるようになるでしょう。しかし現在、ワクチンは就学年齢の子供たちへの接種が承認されていないため、そうなるには子供たちがすべて自然に感染することが必要になってきます」

――イギリスには、徹底したゲノム解析で新型コロナウイルスの変異株をあぶり出し、世界中から注目されるCOVID-19ゲノム・コンソーシアム(COG-UK)という変異を探知できる優れたレーダーがあります

「繰り返しになりますが、COG-UKでは現時点でイギリス国内のすべてのサンプルの5〜10%しかゲノム解析できません。しかも、それらはイギリスのサンプルにすぎません。ウイルスは世界中の多くの国に存在しますが、そうした国の多くではゲノム解析機能を備えていません」

「そのため世界中のほとんどの地域で、ウイルスの変異体がどの範囲で存在するのか実際には分かっていません。イギリスでさえ、ゲノム解析されていない陽性サンプルの90〜95%にどんなウイルス変異体が存在するのか分からないのです」

――コロナ研究に関して日英包括的経済連携協定(EPA)の枠組みを利用して日英両国が協力することは可能でしょうか

「これはおそらく両国政府の間で取り決められなければならないでしょう」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国と中国、外交・安保対話開始へ 3カ国首脳会合前

ワールド

岸田首相、日本産食品の輸入規制撤廃求める 日中首脳

ワールド

台湾の頼総統、中国軍事演習終了後にあらためて相互理

ビジネス

ロシア事業手掛ける欧州の銀行は多くのリスクに直面=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 4

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 8

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story