コラム

宇野・カジサック問題に見る、「ムラ社会」日本の足かせ

2019年02月19日(火)13時30分

外需を起爆剤に生産に邁進していればよかった昭和の時代までは、社会の風潮について深く考える必要はなく、むしろ同調圧力が強いことは大量生産に有利に働いたともいえるだろう。だが、消費経済シフトという現実を目の前にした今、これが大きな弱点となっている。

さらに困ったことに、近年、社会のグローバル化とIT化が急速に進んでおり、新しいサービスを開発するための社会的コストが劇的に下がってきた。このため、従来であれば消費経済の確立など不可能であった新興国でも、部分的には消費経済へのシフトが容易になっており、日本はこの部分においても新興国から猛烈な追い上げを食らっている。多くの外国人が居住し、日本並み(あるいはそれ以上に)に各種サービスが整っているタイなどはその典型といってよい。

いい加減、昭和的、ムラ社会的な体質から脱却しなければ、日本は本当に後進国に転落しかねない状況であることについて、もっと認識する必要があるだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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