コラム

熱狂なきロシア大統領選とプーチン時代の終焉

2018年03月27日(火)15時00分

次期大統領の就任式は5月初め。5月24日にはサンクトペテルブルクで国際経済フォーラムが開かれ、安倍晋三首相はプーチンと会談するようだ。6月14日から1カ月、ロシアはサッカーのFIFAワールドカップのニュースで(少なくともロシアチームが負けるまでは)染まるが、安倍政権にとっては対ロ関係の正念場の季節となる。

9月の自民党総裁選までに北方領土問題で進展、つまり共同経済開発の具体的案件で日ロが合意できなければ、対ロ関係の熱は冷めるだろう。

しかし何がどうあろうとも、たとえ日ロ各国の政権が早期に交代することになっても、日本はロシアへの態度をくるくると変えるべきではない。外交を国内での点数稼ぎに利用する政府は、ロシアだけでなく世界でばかにされ、まともな話し相手になってもらえない。

ロシア側の領土管轄権を認めるような共同経済開発に軸足を置くやり方に筆者は批判的だが、今は態度を一変できるタイミングではない。外交において、転進はじわじわやるものだ。

<本誌2018年3月27日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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