コラム

「ほぼ万年与党」だった英保守党が大ピンチ 凋落の理由と新首相スナクのこれから

2022年10月28日(金)14時35分

目標は、保守党が醜態をさらしたここ最近の時期を、どうにかいい見せ方に繕うことだ。記憶を消すことはできないが、これから比較的政治状況が落ち着いて経済状況もそこそこ良い数年が続けば、いつかは今のこの日々も「一時の迷走」だった、そのほかの点では満足できる政府にたまたま起こったひどい1年だった、と思ってもらえるようになるかもしれない。

保守党にとっての問題は、この手法がジョン・メージャーの下で通用しなかったことだ。当時のイギリス経済は力強い成長を続け、財政は非常に健全(現在の政権では確実に達成不可能)だったにも関わらず。メージャー率いる保守党は労働党に大敗して13年間も政権を離れ、10年以上も「有害」な状態に陥った。そして、好調な経済を引き継いだおかげで政権を奪取した労働党が「経済に強い」との評判を得る羽目になってしまったのだ。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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