コラム

「令和」の時代に日本が直面する最大の問題とは何か

2019年04月18日(木)13時30分

地政学的観点から言えば、ある国の地理的条件と人口動態の現実は変えようがない。地理的条件に関して言えば、歴史上、日本は島国であるおかげで危機を回避できた時もあった。もしユーラシア大陸と地続きだったら、「神風」は日本を救えなかった。その半面、島国であることにはデメリットもある。資源が乏しく、ほかの国々に比べて制約も多い。

もう1つ見落とせないのは、日本が文字どおりの意味で急速に「縮小」しつつあるという点だ。日本の人口は既に減少に転じている。それは、(ほかの条件が同じだとすれば)国力をそぐ一因になる。

令和の時代が「美しい調和」の時代になるかは、現時点で分からない。人口の減少、島国という地理的制約、そしてほかの国々の経済的発展により日本の経済的地位が相対的に低下することは確実だ(その代わりに、軍事力はある程度強まるかもしれない)。

それでも、国力を決定づける5つの要素を検討すると、令和の日本は国際社会で(人口比で考えれば)大半の国より大きな影響力を振るえると自信を持って言える。

しかし、これからの世界を形づくる最大の要素は、今後も続く中国の台頭だ。日本は──そしてアメリカを含めた世界の全ての国は──その現実への対処を迫られる。

<本誌2019年04月16日号掲載>

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GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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