コラム

トランプ政権が残した「台湾救済」という功績

2021年01月19日(火)15時30分

これらの措置は台湾の国際的地位向上とプレゼンス強化のためとみえるが、こうした行動こそがインド太平洋の自由と繁栄、それに安全を保障する戦略ではなかろうか。

インドと太平洋の要衝にある台湾がもし中国に併呑(へ いどん)されたら、一番困るのは日本だ。それにもかかわらず、日本は自ら進んで「戦略」から「構想」に転じ、最近では二大海洋の名前を併記するだけという始末だ。この二大海洋がいかに重要で、そこで何をしたいのかも不明瞭だ。

これらの背景には対中政策で軟化するバイデン次期政権の機嫌を損ねたくないという考えがあるのかもしれないが、最終的に自分の首を絞めるだろう。中国が台湾を「平和解放」したとしても、日本が夢想するこの地域における「平和と繁栄」のために、中国が日本の資源輸入ルートの安全を保障するとは思えず、いわんや自国産石油を気前よく提供するとも思えない。

<2020年1月26日号掲載>

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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