最新記事

高齢化

心身を病んだ89歳米大物議員の「やる気」に周囲は辟易?

Could Dianne Feinstein Be Expelled From the Senate? Don't Count On It

2023年5月22日(月)19時04分
ユアン・パーマー

先週、治療から議会に復帰したファインスタイン CNN/YouTube

<治療のため数カ月休んだ後、議会に復帰した彼女の言葉は同僚議員や有権者を驚愕させた。「私は休んでいませんよ。ずっとここにいました」 病気は重く、公務は無理だと思うのだが>

高齢で心身の健康が懸念されるカリフォルニア州選出のダイアン・ファインスタイン上院議員(民主党)に対して、自ら辞任してほしいという声があがっている。だが上院が介入して議員を任期終了前に解任できる可能性はほぼない、と専門家は指摘する。

【動画】女性政治家の先駆けだったファインスタイン

89歳になるファインスタインは、帯状疱疹の治療のため2カ月以上公務を休んでいた。この間、上院での投票を何十回も欠席しており、上院司法委員会では、彼女が不在の間、ジョー・バイデン大統領が指名した司法関係人事の承認が進まなかった。本来、司法委員会のメンバーは民主党議員が過半数を占めているが、ファインスタインが欠席すると、投票で民主党が負ける可能性があったからだ。

5月10日、議会に戻ったファインスタインは、車椅子が必要で、顔の片側が部分的に麻痺し、左目はほとんど閉じているように見えた。

身体的な衰えだけではない。2カ月間の休養から復帰した直後、ファインスタインは記者団に「私は休んでいない。私はここにいた。投票もしてきた」と語ったことから、精神の健康も懸念されている。

残りの任期は全うする

ファインスタイン陣営は、辞任を求める声をすべて退けている。彼女はすでに2024年の選挙で再選をめざさないことを明らかにしているが、25年1月までの残りの任期は全うする意向を示している。

上院はファインスタインを退任させる手段を講じることはできる。だがファインスタインが考えを変えて自発的に引退しない限り、来年まで上院議員を続ける可能性は高い。

カリフォルニア大学法学部のリチャード・L・ヘイセン教授は、民主党が51対49の僅差で過半数を占める現在の上院が、民主党議員の一人を除名しようとすることは極めて考えにくい、特にファインスタインのように尊敬されているベテラン議員の場合、そのような措置を取ることはあり得ないと述べている。

「憲法は、上院議員に対する措置を上院議会に委ねているが、上院がファインスタイン議員の解任を試みる可能性はかなり低いようだ」と、ヘイセンは本誌に語った。

「上院は非常に仲間意識の強いところなので、自分たちの仲間を規制することには熱心ではない。友人たちが説得して退任を促すほうが、問題が解決する可能性がはるかに高い」

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P横ばい、インフレ指標や企業決算

ワールド

メリンダ・ゲイツ氏、慈善団体共同議長退任へ 名称「

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、今週の米経済指標に注目

ワールド

原油価格上昇、米中で需要改善の兆し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 8

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 9

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 10

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中