親と生き別れ米国へ 再会待ち望むアフガニスタンの子どもたち
米政府は、国外のアフガニスタン人からの一時入国申請について、2021年8月以降で2万6000件以上に上るとしている。米市民権・移民業務局(USCIS)によると、7月1日以降に条件付きで承認された申請は100件に満たない。在カブール米大使館が閉鎖されているため、アフガニスタン人は第三国に行かなければ申請すらできない。
マンスール君の両親は、タリバン新政権に追跡されることを恐れ、基本的には携帯電話の使用を控えている、とニロファルさんは話している。マンスール君は11月1日、8月末の別離以来、初めて両親と通話することができた。
ミシガン移民権利センターのジェニファー・バネガス指導弁護士は、「自分がこの先どうなるのか分からない上に、家族がいつどのように避難してくるのか、無事でいられるかも分からない」ということが、子どもたちにとって非常に大きなストレスとトラウマになっていると指摘した。
保護施設の状況は
政府機関系の保護施設に収容されている保護者不在の子どもたちは、今年に入って記録した2万2000人以上をピークに、現在では1万1000人超まで減少しているが、その大半が中米出身だ。アフガニスタン出身の子どもとは異なり、中米出身の子どもたちは、すでに米国にいる両親や家族との再会を目指して自発的に単独で旅立つことが多い。
HHSは、移民の子どもたちをできるだけ早期かつ安全に米国内の保護者と再会させることを目指していると表明している。
HHSによると、保護者のいないアフガニスタンの子どもたちのうち、1000人以上が保護施設を出て、大半はマンスール君のように当初一緒に移動していた親戚と共に暮らしている。
通常、両親や法定後見人ではない家族と一緒に移動している保護者のいない子どもは、同行者から引き離されて政府の保護下に置かれる。だが米当局は9月4日に発表した政策指針の中でこの規則に例外を設け、アフガニスタンからの子どもについては、米当局者の審査で「善意の」関係にあると確認できた成人に委ねることができるものとした。
HHSは、11月8日の時点で、アフガニスタン出身の保護者を伴わない子ども266人が国内の政府系保護施設や長期養護施設に留まっていると明らかにした。
そのうち数十人については、引き取り先となるような米国在住の親戚や家族ぐるみの友人がいない。アフガニスタン出身の子どもを数多く保護しているシカゴの非営利団体(NPO)、全米移民公正センターのアシュリー・ヒューブナー氏は、こうした子どもの事例は制度の中で棚上げにされていると話す。
「この問題に関して全般的に動きが見られないというのは大変ショッキングだと思う」と同氏。「(国外脱出が始まって2カ月になるのに)これほど困難な状況のままではいけない」