右傾化した米連邦最高裁の「死のノート」判決 トランプ退任後も乱発
モンゴメリー死刑囚の姉妹であるダイアン・マッティングリーさんにとって、連邦最高裁の迅速な決定は不可解であり、何の議論も説明もなしにそうした重大な決定を下すのは「無神経」に映る。
「時間をかけて下された判断なら、理解のしようもある」とマッティングリーさん。「でも、彼らはそうしなかった」
最高裁内部でも乱用に反対の声
連邦政府による死刑が複数回執行されたことで、連邦最高裁の中でも「シャドー・ドケット」の影響力増大に関して微かな不安が生まれた。
同様の決定が最後に下された1月15日、連邦最高裁のリベラル派判事3人は反対に回った。リベラル派のソニア・ソトメイヤー判事は反対意見の中で、これまでの事例で浮上した新たな問題を指摘し、「これは正義ではない」と述べた。
これに対し、保守派の判事は、死刑執行までには長い年月が経っている場合が多いにもかかわらず、死刑囚を担当している弁護士はギリギリのタイミングまで異議申立てを提出せず、実質的に、制度の抜け穴を利用して執行を免れている、と述べている。
2015年、別の死刑判決事件に関する口頭弁論の中で、保守派のサミュエル・アリト判事は、こうした戦術を「(死刑制度に対する)ゲリラ戦」であると表現した。
「驚くほど恣意的」
「シャドー・ドケット」の存在は多くの死刑執行例だけでなく、賛否が対立する一連の事件においても物議をかもしている。
2017年12月、連邦最高裁は5文の命令により、イスラム教徒が多数を占める複数の国からの米国渡航を共和党トランプ大統領が禁止することを認めた。
2019年1月の4文の命令も同様に、トランスジェンダーの兵士の大半を米軍から排除することを求めるトランプ大統領の要請を認めた。2020年7月のもう1件の命令はわずか1文だった。これによってトランプ大統領は、米国南部の対メキシコ国境に構築する「壁」の一部の費用について、米軍予算を転用できることになった。
米軍からトランスジェンダー兵士を排除する政策に異議を唱えているLGBT人権団体、全米レズビアン人権センターのシャノン・ミンター弁護士は、この件に関する連邦最高裁の決定に触れつつ、「驚くほど恣意的に感じる」と話す。
ミンター弁護士は、「恐ろしく高圧的なやり方で、通常の司法プロセスを放棄しているように感じられた」と話す。
バイデン大統領は1月の就任後、大統領命令によって米軍からのトランスジェンダー排除をただちに無効とした。
(Lawrence Hurley記者、Andrew Chung記者、Jonathan Allen記者)
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