最新記事

トランプ

弾劾裁判で無罪になってもトランプにのしかかる刑事訴追リスト

Impeachment Manager Lists All the Criminal Charges Trump Could Still Face

2021年2月19日(金)16時09分
ジェフリー・マーティン

弾劾裁判で無罪になっても刑事訴追の可能性はまだある(1月6日,ホワイトハウス前) Jim Bourg-REUTERS

<州や地区レベルの司法当局がトランプに対する捜査を実行中で今後訴追される可能性も>

米領バージン諸島選出のステイシー・プラスケット下院代議員(民主党)は2月16日、ドナルド・トランプ前米大統領について、弾劾裁判では無罪となったが、今後複数の刑事責任を問われる可能性があると指摘した。

トランプは米議会に対する暴力を扇動した罪で、大統領として初めて2回目の弾劾訴追を受け、2月9日から13日にかけて上院で弾劾裁判が行われた。民主党は、トランプが大統領選後も再三、ジョー・バイデンが勝利したのは選挙で不正をしたからだと主張したことが、トランプ支持者による1月の連邦議会議事堂襲撃という事態を引き起こしたのだと指摘した。

弾劾裁判で有罪評決を受けていれば、トランプは今後公職に就くことを禁じられていた。だが弾劾裁判で検察官役の弾劾マネージャーを務めたプラスケットは16日、今後まだトランプ訴追の可能性はあると述べた。

プラスケットはMSNBCとのインタビューの中で、次のように述べた。「米国内の多くの主体が、トランプ前大統領を刑事訴追しようと準備をしている。コロンビア特別区は暴力を扇動した容疑について。ジョージア州は選挙への干渉や威嚇行為について。そしてニューヨークは、彼の脱税や不正な資金取引疑惑について。いずれも捜査が続いている」

複数の州の司法当局が捜査中

コロンビア特別区(首都ワシントン)のカール・ラシーン司法長官は1月、連邦議会議事堂襲撃に関連した軽犯罪でトランプを起訴することを検討中だと明かした。トランプは暴動が起きる前に、コロンビア特別区で「選挙泥棒を阻止しろ」をスローガンとした集会で演説しており、これが暴動発生の一因になったと批判されている。ラシーンはMSNBCに、「事件の前のトランプの言動には重要な意味がある。事件の最中および直後の彼の言動も、重要だと考えている」と語った。

演説の中で、トランプは大勢の支持者に対して「死に物狂いで戦わなければ、私たちは国を失うことになる」と言っていた。

ジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事長も18日、トランプに対する捜査を進めていると語った。トランプが同州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官に対して、同州での選挙結果を覆すのに十分な票を「見つけろ」と命じた問題についてだ。

トランプは1月にラッフェンスパーガーへの電話で、「私が望むのは、1万1780票を見つけることだけだ」とバイデンとの票差に言及し、こう続けた。「ジョージア州では我々が勝ったのだから」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏にイスラエルのラファ攻撃阻止要求、身内の

ビジネス

為替、購買力平価と市場実勢の大幅乖離に関心=日銀3

ビジネス

午前の日経平均は小反発、FOMC通過で 介入観測浮

ビジネス

国債買入の調整は時間かけて、能動的な政策手段とせず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中