最新記事

感染症対策

韓国科学捜査研究院「17歳少年の遺体を検死、インフルワクチンと無関係」 

2020年10月23日(金)16時58分

韓国の聯合ニュースによると、同国の国立科学捜査研究院は、インフルエンザの予防接種を受けた後に死亡した17歳の少年の遺体を解剖し、ワクチンとの因果関係はないと結論付けた。写真は22日に会見する医師協会、提供写真(2020年 ロイター)

韓国の聯合ニュースによると、同国の国立科学捜査研究院は、インフルエンザの予防接種を受けた後に死亡した17歳の少年の遺体を解剖し、ワクチンとの因果関係はないと結論付けた。韓国では少なくとも25人が接種を受けた後に死亡しており、ワクチンの安全性への懸念が高まっている。

少年は、新型コロナウイルス感染との合併症を防ぐために政府が打ち出した大規模なインフル予防接種プログラムで最初に報告された死亡例に含まれていた。過去1週間で死者数が25人に増えたのを受け、同プログラムの中止を求める声が強まっている。

韓国の保健当局は、同プログラムを中止しない考えを示している。

聯合ニュースが警察の話として伝えたところによると、国立科学捜査研究院は政府の調査の一環として、複数の遺体を解剖。少年の死については、ワクチンと無関係だと結論付けた。

同研究院と警察からコメントは得られていない。

疾病予防管理庁(KDCA)によると、死亡した25人のうち、少年を含む22人は、若者と高齢者1900万人を対象とした無料のインフル予防接種プログラムで接種を受けた。捜査対象となった9人のうち少なくとも7人は持病があった。

政府のプログラムに使われているワクチンを製造したのはGCファーマ、SKバイオサイエンス、韓国ワクチン、ボヒュン・ファーマーシューティカル傘下のボヒュン・バイオファーマの国内4社と仏サノフィなど。無料、有料両方のプログラムにワクチンを提供している。

SKバイオサイエンスのワクチンを接種したのは10人、ボヒュンとGCファーマはそれぞれ5人、サノフィは4人、韓国ワクチンは1人だった。

韓国製のワクチンが輸出されているかや、サノフィのワクチンが他の国でも使われているか明らかでない。各社からコメントは得られていない。

韓国は今年、冬季にインフルエンザと新型コロナの両方が同時に大流行する「ツインデミック」が起きないよう、インフルエンザワクチンの発注量を20%増やしていた。

KDCAによると、10月13日に開始した予防接種プログラムでこれまでに830万人が接種を受け、約350人に副作用が報告されている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・強行退院したトランプが直面する「ウィズ・コロナ選挙戦」の難題
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ



20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア下院、ミシュスチン首相の再任承認 プーチン氏

ビジネス

中国自動車輸出、4月は過去最高 国内販売は減少に減

ワールド

UNRWA本部、イスラエル住民の放火で閉鎖 事務局

ワールド

Xは豪州の法律無視できず、刃物事件動画訴訟で規制当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 4

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 7

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 8

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中