最新記事

テロ時代の海外旅行

歩きスマホはダメ!専門家に聞く海外旅行の安全対策

2018年4月28日(土)11時00分
森田優介(本誌記者)

スマホでマップを見ながら――とやりがちだが KEVIN NIXON-FUTURE PUBLISHING/GETTY IMAGES

<人気の観光地でテロが起き、行き先選びに悩む時代。だが旅行で最も大切なのは、自分の身は自分で守る意識だ。準備の仕方から現地での心構えまで、専門家らに聞いた。本誌5月1/8日号「どこが危なくない? テロ時代の海外旅行」より>

夜に1人で出歩かない、危ないとされる地区に行かない、不要な物を持ち歩かない、高級な腕時計を身に着けない──。これらは基本だが、安全に旅するコツはいくら知っていても知り過ぎることはない。専門家やベテラン旅行者に聞いた。

1. リスクの下調べをする

外務省の海外安全ホームページに加え、「インターナショナルSOS」のウェブサイトにある「トラベルリスクマップ」が役立つ。世界26カ所の拠点で医療とセキュリティーの専門家チームが情報収集して作成したマップで、国・地域別に「医療リスク評価」と「渡航リスク評価」を表示。個人でも無料で利用可能だ。PDF版と、更新頻度の高いインタラクティブ版(英語のみ)がある。

2. 旅行会社を値段で選ばない

海外邦人安全協会の小野正昭会長によれば、海外に行く日本人の7割が日本旅行業協会に加盟する会社を利用するが、加盟社でも安全対策のレベルはさまざま。現地に支店はあるか、提携している現地の旅行会社は信頼できるかなどを担当者に質問すべきだという。自分の身は自分で守ることが大切で、旅行会社に頼り過ぎるのは危険だが、第一歩として、旅行会社を値段の安さだけで選ぶのはもっての外というわけだ。

3. いいホテルの中層階を選ぶ

旅行が趣味で150カ国以上を訪れたという鎌倉在住のアメリカ人、ポール・ネルムは、盗難の恐れがあるため安宿には泊まらないという。「ホテルは結構いいところに泊まる。危険な国ではそれが安全対策になる」。漫画『ゴルゴ13』を使った外務省作成の安全対策マニュアルによれば、ホテルは6~9階がお勧め。低層階は外部からの侵入が容易で、高層階だと火災などの際に救援体制に不備が出る可能性がある。

4. カードの旅行保険では不十分

海外旅行保険の重要性はみんな分かっている──とは限らない。インターナショナルSOSの葵(あおい)佳宏は「クレジットカード付帯の保険に頼る人もいるが、それでは不十分」と言う。例えば、海外で虫垂炎になれば治療費だけで200万円。医療後進国から最寄りの先進国まで緊急搬送となれば民間機でも数百万円かかり、日本帰国となればさらに費用はかさむ。カードに300万円の保険が付いていても足りない。

5. 持病の薬を多めに持って行く

体調管理は万全に。当然、予防接種は事前にきちんと受けること。特に持病がある人は薬を医師から多めにもらっておくべきだ。英文の診断書も用意しておくといい。「薬は飛行機では預けず、手持ちで」と、葵は言う。

【参考記事】日本人は旅行が下手だ(テロ時代の海外旅行術)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国、豚内臓肉などの輸入で仏と合意 鳥インフル巡る

ワールド

ロシア、対等な条件なら西側と対話 プーチン氏就任式

ビジネス

ディズニー1─3月決算、動画配信が改善 テレビ事業

ワールド

ロシアで米国人2人が拘束、1人は窃盗容疑の米軍兵士
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中