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「プチ断食」に期待される減量だけでない効用

Healthy Fasting

2020年01月21日(火)16時25分
カシュミラ・ガンダー

断食レシピには野菜などが好ましいが、有効性を確認するためにはさらなる研究が必要 SASITHORN PHUAPANKASEMSUK/ISTOCKPHOTO

<食事と食事の間隔を長く空ける「間欠的断食」で糖尿病や高血圧、喘息などの症状が改善したりアルツハイマー病を予防できたりする可能性も>

食事と食事の間隔を長く空けるようにすると、健康面でさまざまな恩恵が期待できるかもしれない。

この食事法は、「間欠的断食(インターミッテント・ファスティング)」と呼ばれている。具体的には、1日おきに絶食もしくは食事量を大幅に制限したり、1週間のうち2日は500~700キロカロリーの食事を1回だけ取るようにしたり、1日の食事全てを一定の 時間の枠内(例えば8時間以内)の中に集中させたりする。

昨年末、米ジョンズ・ホプキンズ大学医学大学院の神経科学者マーク・マトソンらが有力医学誌のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに発表した論文は、これまで人間や動物を対象に実施された数々の実験結果を検討している。

【参考記事】ファスティング(プチ断食)は本当に健康にいい?

その論文によると、間欠的断食と、心臓血管系の状態の改善、肉体的なパフォーマンスの向上、糖尿病や肥満の緩和、認知機能の上昇などとの関連性を示す研究結果が存在するという。

多くの動物実験(そして人間を対象にした実験の一部) によれば、食事を取る時間を制限すると、体の主要なエネルギー源が糖から脂肪に転換される。それが健康に好ましい影響を生むのかもしれない。

この食事法を実践すると、減量しやすくなるだけでなく、フリーラジカル(細胞にダメージを与える恐れがある原子)の生成が妨げられる可能性があると、マトソンらは考えている。さらに、血糖のレべルを制御する効果や、ストレスと炎症に対する体の抵抗力を強める効果もあるらしい。

マトソンらの論文によると、さまざまな動物実験では、間欠的断食を実践させると記憶力が改善したという。1日おきの断食やカロリーの制限が糖尿病や神経炎症の症状を緩和したり、空間学習能力と記憶力を向上させたりする効果も見られている。

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