最新記事

中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃

TikTokのブレイクは「芸能人がきっかけではない」バイトダンス井藤理人氏を直撃

2018年12月20日(木)17時25分
高口康太(ジャーナリスト)

300人収容できる新しいオフィスで取材に応じるバイトダンス日本法人の井藤理人グローバル・ビジネスデベロップメント本部長 Newsweek Japan

<世界で急成長中の動画SNS「TikTok」。運営元バイトダンスの日本法人の担当幹部に聞いた、快進撃の要因、先行したVINEとの違い、配信者と運営元のマネタイズ手法......>

2018年の日本を席巻した動画アプリ「TikTok(ティックトック)」。日本上陸からわずか1年での快進撃はどうやって実現したのか。ジャーナリストの高口康太が、バイトダンス日本法人の井藤理人グローバル・ビジネスデベロップメント本部長に聞いた。

本誌12月25日号「中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃」特集に収まりきらなかったインタビューを、特別にウェブで公開する(前編)。

※インタビュー後編:TikTokは既に「女子高生アプリではない」、自撮りできない世代も使い始めた



※12月25日号(12月18日発売)は「中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃」特集。あなたの知らない急成長動画SNS「TikTok(ティックトック)」の仕組み・経済圏・危険性。なぜ中国から世界に広がったのか。なぜ10代・20代はハマるのか。中国、日本、タイ、アメリカでの取材から、その「衝撃」を解き明かす――。

◇ ◇ ◇

――TikTokの快進撃はどのように始まったのか。

TikTokは昨年10月に日本でローンチした。ただしバイトダンスとしては当初、同時期にローンチしたバズビデオ(バイトダンスが運営する、笑えるジョーク映像などを中心とする動画アプリ「西瓜視頻」の海外版)に力を入れていた。私は今年1月に声をかけられたが、まずバズビデオがらみの話をしたことを覚えている。

ただ昨年末か今年1月ぐらいからだったと思うが、どうもTikTokが若い層に刺さっているらしい、話題になっているようだという話が入ってきた。

――口コミ先行の意外なヒットだったと? 芸能人やインフルエンサーとのコラボレーションがブレイクのきっかけだったように見えるが?

インフルエンサーやタレント、アーティストとのコラボレーションが盛り上がったのは事実だが、それが決定打になったという実感はない。私が入社する5月までにも何度かテレビで取り上げられたが、「著名人に人気のアプリ」ではなく、「女子高生に話題のアプリ」という紹介ばかりだった。

そもそもコラボレーションはアーティストにTikTokの魅力に気づいていただいたというケースが多い。分かりやすい例で言うと、きゃりーぱみゅぱみゅさん。彼女のファンは比較的若い女性なので、きゃりーぱみゅぱみゅさんご自身も早い段階からTikTokの魅力を理解していただけた。

「め組のひと」がヒットした倖田來未さんも、この曲で踊るTikTokユーザーの盛り上がりがあり、その結果(この曲が)LINE ミュージックのトップランキングに躍り出たことから、TikTokという存在を知っていただいた。

まず最初に口コミを通じたユーザーの広がりがあった。インフルエンサーさんやタレントさんがきっかけになってブレイクしたわけではない。

――若い世代を中心に流行していたTikTokだが、今では経済誌にも取りあげられるなど広がりを見せている。

夏にテレビの地上波でコマーシャルを1回打った辺りから、女子高生のみならず、一般の人々の間でも、TikTokとかTikToker(ティックトッカー)という単語が会話に出てくるようになった。テレビCMとテレビの情報番組で取り上げられたことが、やはりマスに広がる上で非常に大きなポイントだった。地上波をきっかけに、みんなでTikTokをやってみようという機会が増えていった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIモデルで

ビジネス

円安、輸入物価落ち着くとの前提弱める可能性=植田日

ワールド

中国製EVの氾濫阻止へ、欧州委員長が措置必要と表明

ワールド

ジョージア、デモ主催者を非難 「暴力で権力奪取画策
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 10

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中