最新記事

リモートワーク

「リモートワーク」と「出社」の割合に黄金比はあるのか?

The Pitfalls of Hybrid Scheduling

2022年5月12日(木)18時06分
アリソン・グリーン(職場コンサルタント、ウェブサイト「アスク・ア・マネジャー」運営者)

全てのミーティングをビデオ会議システムでやるのであれば、わざわざオフィスに出勤する意味はない KATERYNA ONYSHCHUK/ISTOCK

<出勤してもチャットで会議? 「ハイブリッドワーク」で在宅勤務と出社の利点を両立できるはずが、計画なしに職場復帰を命じる企業が多すぎる。解決策とは?>

在宅勤務の社会実験が始まってから2年以上、「オフィスへの回帰」を主張する意見の中で、最もよく聞く理由の1つが「コラボレーション」の重要性だ。従業員は現場にいる必要がある、全員が別々の場所で仕事をしていると互いに協力し合うことが難しくなるからだ、と。

そのせいもあって、週の半分を自宅で、残りの半分をオフィスで働くハイブリッド型勤務の人気が高まっている。ハイブリッドワークは在宅勤務の利点(通勤時間がない、集中できる、犬と一緒にいられるなど)と、同僚と対面で仕事をする利点を両立できるとされている。

問題は、多くの場合、そんなふうにうまくはいかないということだ。

むしろ週の一部または全部をオフィス勤務に戻した多くの人々は、職場にいるのが自分だけだったり、オフィスで孤独を感じたり、全てのやりとりがメールやスラックのような社内チャットツール、テレビ会議アプリのズーム(Zoom)で行われていることに気付く。

彼らは往復の通勤時間を費やし、対面での仕事に伴うあらゆる面倒に対処しているのに、あるはずの見返りが一つもない。

私は職場の悩み相談を受け付けるウェブサイト「アスク・ア・マネジャー」を運営しているが、次のような投稿を読んで共感する人はたくさんいるはずだ。

「うちの上層部は、オフィスへの出勤を義務付けています。最初は週に1日、次に2日、そして今は3日です。出勤することで、ズームでは実現できない貴重な(場合によっては自発的な)対面での交流や共同作業が可能になる、というのが理由です。

それが本当なら、気は進みませんが、出勤しようという気になるかもしれません。でも、少なくとも私にとっては、そうではありません。

少なくとも出社時の50%は、同じチームのメンバー(または普段付き合いのある別グループのメンバー)は私以外誰も来ていません。家族と離れ、2時間かけて通勤し、オフィスに座って一日中誰とも話さない(メールやズームは別ですが、それは家でもできる)。

自分のデスクに着いて、他のメンバーがいない暗いオフィスを見るたび、怒りが込み上げてきます。週に数時間、私(と家族)の時間を意味もなく奪われているような気がして、仕事に対するモチベーションはがた落ちです」

働く人々を苦しめているのは、無駄な通勤時間だけではない。正当な理由もなく、少なからず不便を伴う古いやり方を会社から押し付けられているという認識も問題だ。私のサイトに届いたメッセージをもう少し紹介しよう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、利下げごとにデータ蓄積必要 不確実性踏まえ

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高

ワールド

イスラエルとの貿易全面停止、トルコ ガザの人道状況
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中