最新記事

トラベル

イラン「開国」で訪れるべきはここ!

核合意成立で欧米からの旅行者急増は必至。遺跡からリゾート地まで、見逃されていた名所は

2015年9月2日(水)17時30分
ホーリー・ダグレス

色の芸術  シラーズのピンクモスク内部は万華鏡のよう Franco Pecchio-WIKIMEDIA COMMONS

 核開発をめぐる合意が成立し、ついに欧米にも門戸を開こうとしているイラン。かつての「悪の枢軸」への旅行機運はいやが上にも盛り上がるだろう。

 アメリカからイランに旅行するのは、ツアー会社や個人ガイド、ドバイやイスタンブールでの乗り継ぎ便などあらゆる手段を活用したとしても容易ではない。にもかかわらず、ハサン・ロウハニが大統領に選ばれた13年以降、アメリカ人のイラン旅行は増加の一途だ。

 今やこの国は観光業の一大ブームが予想されている。年間訪問者数は現在の500万人から2025年までには2000万人に膨れ上がる見込みだ。

 これまでは経済制裁によって、イランとの商取引どころかイランで外国のクレジットカードを使うことも不可能だった。こうした障壁が取り除かれることで、オンラインでの旅行予約、交通機関やホテルの確保、イラン国内で現金を引き出すことなどがもっと簡単にできるようになる。

 さて、これまでイランで見逃してきたものは何だったろう?かなりたくさんあるはずだ。観光客が見るべきものをいくつか紹介すると......。

歴史の宝庫

magc150902-02.jpg

歴史を感じさせるイスファハンのイマーム広場 Ravi Tahilramani/GETTY IMAGES


 イランの文化と歴史は古代文明にまでさかのぼる。聞かれもしないうちから誇らしげに歴史を語りだすイラン人も多い。

 とはいえ、まず始めるべきは有名過ぎるこの場所から。首都テヘランにある元アメリカ大使館──79年11月に発生した米大使館人質事件の現場となった、イランが言うところの「スパイの巣窟」だ。

 米大使館跡地が終わったら、本格的に古代の歴史に取り掛かろう。イランにはユネスコ(国連教育科学文化機関)登録の世界遺産が19件ある。古都シラーズ近郊にあるペルセポリスの神殿跡やイスファハンのイマーム広場もその例だ。

 ムラー(宗教指導者)たちを祭ったモスクはいずれも圧巻。なかでも世界中から巡礼者が訪れる北東部の都市マシャドのイマーム・レザー廟は見逃すなかれ。イラン最大のモスクでもあり、建物内のツアーも行われる。

 シラーズにある通称「ピンクモスク」(マスジェデ・ナスィーロル・モスク)も必見だ。一面のステンドグラスに彩られたモスク内部にいると、万華鏡に閉じ込められたように思える。

イチ押し イラン国内至る所がハズレなしだが、個人的にはイスファハンと最古の都市ハマダーン、シラーズなどがおすすめ。

想像を絶するイラン料理

 イラン料理がどれもスパイシーだと観光客が決めてかかっているのは、イラン人にとって心外だ。実際のところ、イランには地方ごとに大きく異なる多種多様な料理がある。各種ケバブからスープ、シチュー、コメ料理やデザートなどだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中