最新記事

SDGs

「無意識的な偏見」が、社会の活力と成長を阻害する...企業が多様性を推進する理由

2022年12月16日(金)16時47分
西田嘉孝
ダイバーシティ社会イメージ画像

JDawnInk-iStock

<不平等の解消と、豊かで活力にあふれた地域社会の実現に必要なものとは──。「DE&I」を掲げるアメリカン・エキスプレスが目指す真の「多様な社会」>

持続可能でよりよい世界を目指すため、国連加盟国が2030年までの達成を目指す「SDGs(持続可能な開発目標)」は、17の大きな目標で構成されている。そこには「気候変動への具体的対策」や「貧困の撲滅」などとともに、「ジェンダーの平等」や「国内外における不平等の解消」といった目標も掲げられている。望ましい未来のためにはさまざまな面での不平等の解消が必要だということは、国際的な共通認識になっていると言えるだろう。

こうした目標を達成するための重要なキーワードとして、よく聞かれるようになったのが「ダイバーシティ&インクルージョン」だ。これは人種や性別、宗教や性的指向、身体能力や特性、そして価値観など、個々人の多様性を認める「ダイバーシティ(多様性)」に、社会や組織がそうしたすべての人々を受け入れて最大限に活かそうという「インクルージョン(包括・受容)」という考え方を加えたもの。政府や公的機関だけでなく、近年では世界中の企業が行う取り組みにも注目が集まっている。

そうしたダイバーシティ&インクルージョンにおいて、先進的な取り組みを進める企業の1つがアメリカン・エキスプレス(以下・アメックス)だ。世界最大級の意識調査機関Great Place to Work®︎が実施する調査・ランキングで、「働きがいのある会社」として毎年のようにランキングの上位入賞を果たすなど、その取り組みが高く評価されている。

多様性と包括・受容に、公平性を加える

「今や多くの企業では多様な特性を持つ人々を受け入れる取り組みが始まっていますが、真の意味でダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を実現するためには、働くすべての社員が平等に扱われていると感じられる環境を整えなければなりません。そこでアメックスではダイバーシティ&インクルージョンにエクイティ(公平性)を加え、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進しています」

そう話すのは、アメックスの加盟店事業部門マーケティング アジア太平洋地域副社長の津釜宣祥氏だ。津釜氏によると、同社ではいち早く取り組んできた女性やLGBTQ+の社内ネットワークづくりなどに加え、以前より無意識的な偏見を意味する「アンコンシャス・バイアス」に関するトレーニングや男女間の賃金格差の是正にも力を入れてきたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米関税引き上げ、中国が強い不満表明 「断固とした措

ビジネス

アリババ、1─3月期は売上高が予想上回る 利益は大

ビジネス

米USTR、対中関税引き上げ勧告 「不公正」慣行に

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中