最新記事

円安

「日本の為替介入は『シグナル送る』狙い、効果は短命」IMF高官

2022年10月14日(金)10時46分
日本銀行本店

国際通貨基金(IMF)高官は、日本当局による急激な円安に対応した先月の為替介入について、円相場の変動をなだらかに抑えるために市場にシグナルを送る狙いがあったようだとの見方を示し、介入効果は短命に終わる傾向があると指摘した。日銀本店前で6月17日撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

国際通貨基金(IMF)高官は13日、日本当局による急激な円安に対応した先月の為替介入について、円相場の変動をなだらかに抑えるために市場にシグナルを送る狙いがあったようだとの見方を示し、介入効果は短命に終わる傾向があると指摘した。

IMFアジア太平洋局のサンジャヤ・パンス副局長はロイターとのインタビューで、日銀の金融政策についても言及。最近の市場の急変動によって超低金利やイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を維持する必要性が高まったと述べた。

「今はYCCを変更する適切な時期ではないとわれわれは考える。市場が神経質になり、さまざまな事象が起きている中で変動率が大きくなる状況では、インフレが持続的に加速するまで金融緩和の継続を確約することが適切だ」と語り、今変更を加えれば市場に混乱をもたらす可能性があるとした。


ドルは13日、市場予想を上回る米消費者物価指数(CPI)上昇率を受けて一時147.665円まで上昇。32年ぶりの高値を更新し、日本の再介入が警戒されている。

パンス氏は日本の先月の介入について市場の高い流動性に比べてかなり小規模で「市場の調整をなだらかにするためのシグナル的行動の様相が強かった」と分析した。

円の価値が日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)から乖離(かいり)している兆しはないとした上で、介入は下落ペースを緩やかにするが歴史的に効果は持続しないと説明。「重視すべきは金融・財政政策の全般的姿勢で、これは適切に維持されている。介入はこれまでのところ1回限りで、深みのある市場に比べ規模が小さかった」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中