コラム

米大統領選2024は「トランプ対バイデン」の再戦へ、選挙戦を左右する5つの要因とは

2023年12月21日(木)17時44分

231226P35_IS_P35-37_02final.jpg

SCOTT OLSON/GETTY IMAGES (TRUMP), EVA MARIE UZCATEGUIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES (HALEY AND DESANTIS), LEAH MILLISーREUTERS (BIDEN)

またしても大接戦になる?

一方、2期目を目指す民主党のジョー・バイデン大統領も、党内の対抗馬であるディーン・フィリップス下院議員と作家のマリアン・ウィリアムソンを大きくリードしている。そもそも、この2人のライバル候補が立候補していることを知っている有権者は1%もいないのではないか。

つまり、よほどのことがない限り、24年大統領選は、トランプとバイデンが激突した20年の「再戦」になりそうだ。

では、この2人のどちらが勝つのか。現時点では、全くの互角と言っていい。

それでも、選挙戦に影響を及ぼす外的要因が5つある。そのうち3つはどちらの有利にも働く可能性があり、2つはトランプの有利に働く可能性がある。

■年齢

この点を指摘するのは無礼と言われるかもしれないが、統計上は無視できない。

トランプは77歳で、見てのとおり不健康な体形をしている。相次ぐ法的トラブルによるストレスも考えれば、健康問題が生じる可能性は著しく高い。

しかし、81歳のバイデンも既にアメリカ人男性の平均寿命を大きく超えていて、しかも世界で最もストレスのかかる職に就いている。

健康状態への懸念は有権者の判断にも影響を及ぼす。

前回の大統領選で78歳のバーニー・サンダース上院議員が民主党の候補者指名を獲得できなかったのは、出馬表明後に心臓発作を起こしたことも一因だった。

不確定要素の1つは、トランプの副大統領候補がまだ決まっていないことだ。

大統領候補が高齢であれば、副大統領候補の人選に関心が集まってもおかしくない。大統領にもしものことがあった場合に昇格するのは副大統領だからだ。

その点、バイデンの副大統領であるカマラ・ハリスは有権者の人気が乏しい。トランプは、ハリスよりも人気のある人物を副大統領候補に選ぶべきだ。

有利になるのは?──どちらとも言えない。

■第3の候補

アメリカの2大政党の評価は地に落ちている。

22年の中間選挙では、無党派層の割合が31%にも達した。米大統領選では、有権者が民主党と共和党の候補者に満足できない場合、「第3の候補」が名乗りを上げる可能性が高まる。

既に、故ロバート・F・ケネディ元司法長官の息子であるロバート・ケネディJr.が無所属候補として選挙戦を戦っている。民主党保守派のジョー・マンチン上院議員も、第3政党からの出馬の可能性をちらつかせている。左派の黒人大学教授であるコーネル・ウェストも名乗りを上げている。

陰謀論に傾斜しているケネディは、トランプとバイデンの両方から等しく票を奪うとみられているが、マンチンとウェストは明らかにバイデンから奪う票のほうが多いだろう。

有利になるのは?──主としてトランプ。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン・トランプ候補、6月27日にTV討論会で対

ワールド

スロバキア首相銃撃で負傷、生命の危機脱する 「政治

ビジネス

GDP1─3月期は2四半期ぶりマイナス、年率2.0

ビジネス

日本郵政、アフラックを持ち分法適用会社に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 5

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story