コラム

iPhoneで撮影、北欧の「瞬間」を切り取る20歳のストリートフォトグラファー

2020年02月13日(木)12時40分

From Joakim Möller @moller_joakim

<写真を始めてまだ3年。先人に学ぶ勉強家でもあるスウェーデンのジョーキム・モラーは、ストリートフォトグラフィーは「予測のできなさ」に最も惹かれるのだと言う>

今回取り上げるInstagramフォトグラファーは、スウェーデンのジョーキム・モラー。写真を始めてわずか3年ほどという20歳の写真家である。

彼の写真スタイルは、ストックホルムをはじめとする北欧で撮影されたストリートフォトグラフィーを基軸としている。そのジャンルの写真家の大多数が好む、完全なcandid(キャンディッド)、つまり、あるがままの瞬間を切り取るというよりはむしろ、構図やムードにより力点を置いたファインアート的な写真だ。

北国の都会の風景を、日常を、基本的にiPhoneで撮影し、作品を生み出しているのである。ある時は粒子の荒いデジタルフィルムやデジタルレンズのアプリを使い、あるいはポスト・エディティングのテクニックで魔法のような雰囲気を出し、またある時は、多重露光撮影に見えながらも、巧みなリフレクションや、ガラスなどを透過させたストレートな写真で、我々を魅惑する。

とはいえ、モラーは撮影前に念入りなアイデアを練って写真を撮るタイプではない。実際、ストリートフォトグラフィーの醍醐味は(何が起こるか)予測できないこと、それがストリートフォトグラフィーにおいて最も惹かれる部分だという。それを毎日のように出かける「フォト・ウォーク」(Photo Walk)の中で本能的に撮影しているらしい。

著名な写真家にインスパイアされ、彼らのスタイルも臆することなく取り入れている。モラーの白黒写真での代表的なインスピレーションは、このブログでも以前紹介したコッチことリチャード・コッチ・ヘルナンデスだ(新聞社の元・報道写真家がSNS時代に伝える「写真を超えた何か」)

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story