- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 来年秋に迫った米大統領選の予備選がまったく盛り上が…
来年秋に迫った米大統領選の予備選がまったく盛り上がらない理由
トランプについては、口止め料不正、機密書類持ち出し、女性への暴行などの容疑に加えて、議会暴動教唆や政権交代の妨害についても起訴される見通しが出ており、多くの容疑で公判中の刑事被告人となっています。ですが、コアなファンが「魔女狩りに屈しない」として支持を続け、共和党の大勢もこれに引きずられている格好です。
一方で、正面切ってそのトランプを批判する動きも党内にはあります。「議会暴動を扇動した」とか「ロシアとの癒着がある」などと真正面から「トランプ主義」に切り込もうとしています。具体的には、ペンス前副大統領が特に議会暴動を厳しく批判しており、ヘイリー元国連大使、クリスティー前ニュージャージー知事なども、トランプの側近だった過去を「かなぐり捨てて」トランプ批判に回っています。ですが、この3人の支持率はいずれも一桁台で、今のところ政局を動かす勢いはありません。
今後の展開ですが、まず8月23日には第1回の「共和党テレビ討論」が予定されています。デサンティス候補などはヤル気満々だとしていますが、トランプ候補は参加を渋っています。「自分には過半数の支持があるのに、支持率一桁台の泡沫候補と発言時間が同じなら不公平なので出ない」というのですが、実際は「議会暴動」や「ロシアとの癒着」についての論戦を回避したいからだという解説があります。
このままいきますと、第1回のテレビ討論は「トランプ抜き」となって、デサンティス氏を他の候補が叩きつつ、お互いに「トランプ批判の弁論合戦」を繰り広げるかもしれません。あるいは、トランプ票を恐れて、一部の候補がトランプ批判を控えるような「忖度」をして、場をシラケさせることもあり得ます。また、同じ時間帯にトランプは一方的な演説をテレビ中継させて混乱を狙うかもしれません。
いずれにしても、このままの流れで進んでいくのであれば、2024年の大統領選は、予備選も本選も低調なものとなる懸念が否定できません。
バイデンとトランプ、それぞれの苦境 2024.05.08
パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因 2024.05.01
60年代学生運動『いちご白書』再び、ニューヨークのキャンパスが燃えている 2024.04.24
党議拘束の緩和こそ政治改革の決め手 2024.04.17
爆発的な観光資源となったアメリカの皆既日食フィーバー 2024.04.10
皆既日食で盛り上がるアメリカ 2024.04.03
大谷翔平の今後の課題は「英語とカネ」 2024.03.27