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【写真特集】コザに漂う、記憶のかけら
BLUE AFFAIR
Photographs by KOSUKE OKAHARA
<米軍基地と共に生きたコザ市は、ベトナム戦争特需に沸き、本土復帰を経て1974年に隣接自治体との合併で消滅した>
沖縄・名護市の新米軍基地建設問題を、写真家の岡原功祐は根深い政治問題の象徴として、主に欧米メディアの視点で撮影を重ねてきた。抗議する市民と、それに対峙する警察官らを繰り返し記録するなかで、ニュースの枠組みだけで沖縄を捉えてきた自分に疑問を膨らませていた。
取材を終え、帰途に就いたある日、岡原は沖縄市の大きなアーケードから続くシャッター街で、今は存在しない「コザ」と出合った。
第2次大戦後、米軍基地と共に生きたコザ市は、ベトナム戦争特需に沸き、本土復帰を経て1974年に隣接自治体との合併で消滅した。70年に米兵が起こした人身事故をきっかけに住民が蜂起した「コザ騒動」から、2020年12月でちょうど50年になる。
岡原は、複雑な歴史や政治問題を背負ってきたこの街で、あえてそれらの文脈から離れ、偶然の出合いを手繰り寄せながら、人々の暮らしの中に没入していった。
「コザでは人間や街の二面性が全て表面に現れているように感じた」と岡原は言う。「優しいけれど暴力的、オープンだがシャイ、ローカル色が強いが、嘉手納基地の隣にあり国際色豊か。二律背反の事象が予測不能に交錯する」
この街に憑かれた岡原は、コザを離れると、撮影した風景が夢となって現れるようになり、何度も戻っては、街により深く沈み込んだ。
混沌の中での息苦しさとは裏腹に、この場にとどまりたいと願う矛盾を抱えながら拾い集めた記憶のかけらは、岡原の熱を帯びた「夢」を体現しつつ、相いれない真逆の性格を同居させている。
<本誌2020年11月24日号掲載>
「毎日あてもなくさまよい、偶然に任せて写真を撮った。
それは、海の中に沈んでいく感覚に似ている。
時として息苦しくなる混沌とした世界。
酸素が足りなくなってもずっと潜っていたいような、
そんな矛盾した渇望に支配された。」
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