コラム

アマゾンEcho、Google Home、アップルHomePodを日常で使ってみた

2018年03月07日(水)16時30分

ただし、「起動ワード」もしくは「ウェイクワード」というこの呼びかけには、製品によって言いやすいものと、やや言いにくいものがある。筆者が、アマゾンのEcho、グーグルのGoogle Home、アップルのHomePod(日本未発売で英語のみに対応)という代表的な3種のスマートスピーカーを日常的に利用して比較したところでは、それぞれ「アレクサ」、「オーケー・グーグル」、「ヘイ・シリ」という起動ワードの中で、最も呼びかけやすかったのは、一言で済む「アレクサ」だった。

1日に何度も呼びかけるので、この言いやすさは重要なのだが、反面、Echoへの呼びかけでなく日常会話の中でAIアシスタントとしてのAlexaに言及する場合にも反応して「よくわかりません」などと返答してくるので、実害はないものの、鬱陶しい面もある。

その点、Google HomeやHomePodは、単純に話の中で「グーグル」や「シリ」という単語が出てきても、それだけでは反応しないため、安心して(?)会話をすることができる。

今後、AIアシスタントがもっと賢くなれば、起動ワードなしに、質問が自分に対して発せられたかどうかを自動で判断して応答するようなことも可能となっていくだろう。

Home Podは最もAIと会話している気分になれる

また、アマゾンのEchoやGoogle Homeは、機能拡張の方法として、「スキル」や「アクション」と呼ばれる、従来のアプリに相当するサービスを登録したり、呼び出したりする方法を採っている。しかし、スキル名やアクション名を覚えて、たとえば、銀行口座の残高を調べる場合でも「アレクサ、みずほ銀行を開いて」のように銀行のスキルを呼び出してから残高を訊く必要があり、個人的にはあまり利用していない。

それよりも、現段階では簡単に呼び出せる基本機能に絞って利用するほうが、ストレスもなく便利に使えると感じている。この点で、まだ実際に行えることは少ないが、アップルは、サービスを指定しなくても、したいことを告げるだけで処理できる環境を目指しているものと考えられ、(今のHome Podでは英語でのやり取りになってしまうが)、この製品が、最もAIと会話している気分になれるという点は指摘しておきたい。

「今日はどんな日?」

ちなみに筆者がよく使うのはGoogle Homeに対して「今日はどんな日?」と訊くことであり、これだけで、自宅付近の気温や天気の予報を読み上げて、NHKや日経のラジオニュースを流してくれる。料理中のタイマー機能も重宝するし、音楽サービスのSpotifyを無料アカウントでBGM代わりに利用したり、EchoならばPrime Musicを会費だけで利用できる。

Echoは、アマゾンに対して声で商品発注ができる点もセールスポイントだが、色々と比較して買うのではなく、いつも買っている日常品を補充するような用途に向いている。

スマートホームの実現

また、家電や照明のコントロールを声で行うスマートホームの実現もスマートスピーカーを入手したら試してみたいことの一つに違いない。筆者はそのために新しい家電を買うのではなく、スマートスピーカー対応のスマートコンセントや赤外線リモコンを利用して、すでにある製品を声で操作できるようにすることから着手した。

多少、個々のデバイスに関するリテラシーや試行錯誤が必要だったため、そういうことが苦手ならば、回り道をせずに対応家電を購入したほうが良いが、主照明やテレビ、エアコン、ヒーター、加湿器のオン/オフは、すべて声で行える環境を整えることができた。

プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ

ワールド

インド総選挙、首都などで6回目投票 猛暑で投票率低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story