コラム

スマートスピーカーとスフィロ社「スパイダーマン」が拓く未来

2017年07月03日(月)18時30分

また、声さえ届けば離れていてもハンズフリーで使える点も、自宅のリビングやキッチンなどで利用する際には便利な点となっている。

一方で、具体的な処理は特定のキーワード(Echoでは、AIシステムの名前である"Alexa"や"Amazon"、Google Homeでは"OK Google"という呼びかけ)が発せられた時から始まるが、常にユーザーの声をモニターしていることからプライバシーに関する懸念が生じてもいた。この点に関して、現在では両システム共に常時オンにするかをユーザーが決められたり、アップルのHomePodでは同社自体も通信内容を解析できない仕組みであることを明確に打ち出すなど、程度の差はあるものの、安心して使えることを謳うようになっている。

【参考記事】LINE、GoogleのクラウドAI戦略を比較してみた

スフィロ社のSpider-Man

そんな中、トイメーカーもスマートスピーカー的な機能にキャラクター性を持たせた製品を発売してきており、前回紹介したLightning MaQueenと同じスフィロ社によるSpider-Manは、その最先端に位置している。ユーザーは彼の相棒となって音声のやりとりで悪人と戦うストーリー展開を楽しんだり、スパイダーマンらしいジョークを聞いたり、センサー機能による部屋の監視(あくまでもオモチャとしてだが、侵入者があると警告を発して、そのことを記録)を頼んだりできるのだ。その中身は、完全に1つのコンピュータシステムであり、近い将来に、こうした機能性が拡張していけば、子どもたちの日常的なパートナーやアシスタントになることも十分に想定できる。

現時点で日本国内で正規販売されているのは意外にもSpider-Manのみ(ただし、応答はすべて英語)だが、年内にはEchoとGoogle Homeの日本語版や、元から日本語対応のWaveが国内で販売開始され、来年以降にHomePodの日本語化も行われるものと思われる。

AIベースの音声応答は、特別な操作方法を覚える必要がなく高齢者にも使いやすいため、情報弱者の低減にも大きく貢献していくことだろう。


プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー、NPO法人MOSA副会長。アップル、テクノロジー、デザイン、自転車などを中心に執筆活動を行い、商品開発のコンサルティングも手がける。近著に「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか」(現代ビジネスブック)「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著・三省堂)、「東京モノ作りスペース巡り」(共著・カラーズ)。監修書に「ビジュアルシフト」(宣伝会議)。

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