コラム

オスマン帝国の記憶を取り戻し始めたトルコ

2022年11月26日(土)14時30分

だがこの成功で、トルコは少しいい気になったようだ。11月のテュルク諸国機構首脳会議で、「北キプロス」(キプロス島北部。トルコ系住民が多いため、トルコが軍を送って「独立」させたが、他にこれを承認している国はない)にオブザーバー参加の資格を認めるよう迫り、中央アジア諸国はこれを拒否した。それにもかかわらず、エルドアンは「認められた」とツイートした。

大国は身勝手で強引なものだ。特に昔、帝国だった国は、弱い相手を前にすぐつけ上がる。このままでは、トルコ外交も伸び悩むことだろう。ロシアのウクライナ侵攻、中国のウイグル弾圧......。「帝国」のDNAは自分のためにならないのだ。

とはいえ、日本も奇麗事は言っていられない。アメリカという大国に放り出されたり、市場を閉められたりしたら、どうするのだ?

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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