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「アジア系アメリカ人とばかり言われるのはイヤだった」──『オーシャンズ8』でスリ役に抜擢された中国系女子ラッパーの思い

Awkwafina Breaks Out

2018年12月18日(火)17時05分
ニューズウィーク日本版編集部

――以前と違い、お金についての心配はなくなったのでは?

そうね。(財布に余裕がある状態には)なかなか慣れなくて、昔から住んでいたアパートに今も住んでいる。私はすごくすごく安上がりなの。アジア人の地味なおばあちゃんみたいに。お金を使い過ぎるのが怖い。将来何が起こるか分からないというのが頭の片隅にあるから。

――『クレイジー・リッチ!』でのコンスタンス・ウーとの共演はどうだった?

素晴らしかった。スクリーン上で見えるまんまよ。おしゃべりしてたら「じゃあ、そろそろ撮影に移ろうか」って呼ばれる感じ。彼女からのアドバイスは本当にうれしかった。演じていると、特に演技力に優れた俳優に囲まれていると、「本当にこの演技でいいのかな?」と思ってしまう。コンスタンスは「あなたの演技は素晴らしい。私を信じて」って感じだった。口先だけでいいかげんなことを言う人ではないから、お墨付きをもらえてとてもうれしかった。

――『クレイジー・リッチ!』が注目される理由の1つは、映画やテレビにアジア系が出る機会が少ないことにある。改善の兆しは見えるか。

ええ。私が演技を始めたときには、昔のアジア系アメリカ人の俳優たちが経験してきたような問題を乗り越える必要はなかった。でも子供の頃は、アジア系の出演機会はほとんどなかった。今は違う。『クレイジー・リッチ!』みたいな映画がたくさんあるわけではないけれど、ハリウッドの大きな変化を象徴する作品だ。

――もっと若い世代のアジア系アメリカ人からすれば、あなたもその「変化」の1つだ。

よく言われる。最初はアジア系アメリカ人とばかり言われるのはイヤだ、オークワフィナと呼んでほしいと言っていた。そんな重荷は背負いたくない。だって私がしくじったらどうなると思う? 私がアジア系だという理由だけで、みんなの状況が悪くなったら困る。

でもある舞台に立ったとき、幼いアジア系の女の子が私のところに来てこう言った。「存在してくれてありがとう。おかげで(アジア系でも)やれるんだって分かった」って。それで、自分のやっていることは人々の心を動かせると気が付いた。

――新曲『イン・フィナ・ウィ・トラスト』について教えて。

14年を最後にアルバムを出していないから、なぜ音楽をやらないのか不思議に思われていたと思う。最近なら「映画のせい」と思われるだろうし、実際それもあるけれど、同時に自分自身の声を探していた。見つかるまでは何も発表したくなかった。私がラッパーだということを知らないファンも多いし、曲を出さないことにおかんむりのファンもいる(笑)。新曲が出せたのは最高だと思う。

[2018年8月28日号掲載]

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