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トラベル罰金690円也! モスクでセクシーダンスをした中国人旅行者の顛末
The Star Online-YouTubeより
<美しいコタキナバルのモスクでの珍事件。中国総領事館は、決して宗教上のタブーを犯してはならないと注意を喚起する>
昨今、日本でも聞き慣れてきた「ハラール」という言葉。「合法な」「許された」という意味のアラビア語で、アジアでもマレーシアやインドネシアをはじめとする、イスラム圏のムスリムが宗教的に「許された」商品やサービスを独自に認証する動きがある。それほど、宗教を重んじる姿勢は不可侵のものだ。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、2013年に実施された調査でマレーシアの人口の61.3%、およそ1950万人がイスラム教徒と報告されている。
神聖なモスクに出現した不届きもの
このイスラム教国マレーシアで、神聖なモスクの前でセクシーダンスをする無礼者が現れた。
ボルネオ島北部に位置するサバ州の州都コタキナバルにあるこのモスクは、市内の主要ランドマークの1つ。人工のラグーンに囲まれているため「フローティングモスク(水上モスク)」とも呼ばれる観光名所でもあるここで事件は起こった。
コタキナバル市立モスク(別名フローティングモスク)
2人の中国人女性旅行者、37歳のワン・ハンと25歳のチャン・ナはこのモスク前で撮影した艶めかしい踊りを動画サイトに投稿。すると動画はSNSで広く拡散され、わずか2日間で173万回以上再生された。しかし、マレーシア国民は激怒。多くの批判の声が相次いだ。モスクの責任者は、この中国人の行動を『不適切』と非難し、イスラム教の尊厳を守るため観光客の受け入れを中断すると発表した。
マレーシアのニュースサイト、フリー・マレーシア・トゥデーやシンガポールのストレーツ・タイムズ紙もこの事件を大きく報じた。
コタキナバルの警察当局はセクシーダンスをした2人に25リンギット(約690円)の罰金を科し、空港に護送。そのまま中国へ強制送還したと、中国のポータルサイト捜狐が報じた。
これに対し中国総領事館は、「サバ州の観光省、入国管理局、市警察が調査に関与している」と状況を伝え、サバ州を訪れる中国人観光客に「滞在する国の法律や規制を遵守し、地元の宗教的伝統や慣習を尊重し、ガイダンスに従わなければならない。決して宗教上のタブーを犯してはならない。中国人観光客のイメージを損ねてはならない」 と注意を促した(サウスチャイナ・モーニングポスト)。
サバ州の観光、文化、環境大臣を務めるクリスティーナ・リュウは、中国の動画サイトに「この2人には『警告』を与えた」と語った。
2015年には、4人の西洋人観光客がサバ州のキナバル山でヌード写真を撮ったとして、わいせつ罪の判決が下されている。一部の地元の人は、この行為が、死者の出たサバ地震の引き金になったのではないかと考えているという。
ホリデーシーズンが始まろうとしているが、渡航先の文化や風習に敬意を持つことは必須。本誌でも日本人の「安全性」に対する意識に疑問を投げかけている。海外旅行を控えているなら、出発日に向けて躍る胸を少し落ち着けて旅行先の情報を思案したい。
【参考記事】日本人は旅行が下手だ(テロ時代の海外旅行術)