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ヴィズマーラ恵子|イタリア

欧州議会、画期的なAI法を最終承認

画像 Shutterstock-Deemerwha studio

| 欧州議会、画期的なAI法を最終承認

欧州議会が人工知能 (AI) 法に対して最終的な賛成を表明した。
新しい規則は、急速に変化するテクノロジーの規制を競う国々にとって、世界的な道しるべとなることが期待されている。

2024年3月13日(水曜日)、ストラスブールの欧州議会が人工知能(AI)を管理するための画期的な法案に関して、賛成523票、反対46票、棄権49票で最終承認された。

この新しい法律の目的は、加盟27か国の国民を急速に変化するテクノロジーに関連する潜在的なリスクから保護し、基本的権利、民主主義、法の支配、環境の持続可能性を「高リスクのAIシステム」から保護すると同時に、イノベーションを促進し、欧州がこの分野を確実にリードできるようにすることである。

人工知能を管理する AI法は、欧州で今年の後半に施行される予定だ。

欧州議会のロベルタ・メッツォラ議長は採決後、「イタリアの画期的なAI法により、イタリアはEUの民主的価値観に基づいてデジタル・技術革新の世界リーダーになれるだろう。なぜなら欧州は世界の調子を決め、責任を持って先導する能力があるからだ」と述べた。


EU産業トップのティエリー・ブルトン氏は議会の圧倒的な支持を歓迎し、「ヨーロッパは今や、信頼できるAIの世界標準設定者となった」と同氏は語った。

| EU の新しいAI規則とは何か?

新しい法律は、さまざまな種類の人工知能をリスクに応じて分類し、より危険性が高いとみなされるAI ツールについては厳格な要件を課すか、完全に禁止するものである。

「高リスクのAIシステム」とは、つまり健康、安全、権利、環境、民主主義、法の支配にリスクをもたらす可能性のある AI システムであり、いくつかの義務が課されることになる。

これらのシステムには、リスクを評価して軽減し、使用記録を維持し、透明性と正確性を備え、人間による監視を確保する義務がある。

重要なインフラ、教育と専門訓練、雇用、基本的な公共および民間サービス、一部の法執行システム、移民と国境管理、司法と民主的プロセスに関連する用途が含まれている。


| 規制と禁止事項

- 機密性の高い特性に基づく生体認証分類システムや、データベースを作成するためのインターネットや閉回路カメラシステムの記録からの顔画像の無差別外挿など、国民の権利を脅かす一部のAIアプリケーションを禁止。

- 職場や学校の感情認識システム、社会信用システム、予測警察活動、人間の行動を操作したり人々の脆弱性を突いたりするシステムも禁止。

- 個人の人種、宗教、性的指向を推測するために生体情報を使用したり、予測的取り締まりやシステムにAIを使用することは禁止。

- 法執行機関は、法律で明示的に規定されている特定の状況を除き、生体認証システムを使用してはしてはいけない。

- アルゴリズムのトレーニングに使用されるデータも、特定の品質と透明性の基準を満たしている必要がある。

一方、「リアルタイム認証」は、時間と空間の制限された使用などの厳格な保証が尊重される場合にのみ使用できる。司法または行政の許可のほか、行方不明者の捜索やテロ攻撃の防止などの目的も含まれている。公共の場でのリアルタイムの顔認識は禁止されるが、法執行機関にはいくつかの例外がある。

法律に違反した企業には、750万ユーロ(約12億1,280万円)から3500万ユーロ(約56万5,000円)の罰金が科される可能性がある。

コンテンツの推奨やスパムのフィルタリングに使用されるモデルなど、ほとんどの AI システムは低リスクに分類されると予想されるが、医療分野や電力網などの重要インフラは特に、AIのリスクの高い用途であり、より厳しい監視にさらされることになる。

これらのモデルを支持する企業は、リスク評価を実施し、ユーザーに明確な情報を提供し、製品が一般に公開される前に法律に準拠していることを確認しなければならない。

ChatGPTなどの生成 AI モデルを対象とする規則は、法律が正式になってから12か月後に施行されるが、企業はほとんどの規定を2年以内に遵守する必要がある。

この規制はまだ理事会による正式な承認が必要だが、弁護士・言語学者による最終検証を受け、議会が終わるまでに最終的に採択される必要がある。

この法律は、EU官報に掲載されてから20日後に発効し、発効後24か月後に適用される。
ただし、禁止行為の禁止に関しては発効後から6か月後から適用される。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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