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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

コロナ禍の食事情あれこれ

おかげでスーパーではお目にかかれない鮭の半身(しかも「サシミにできます(=すごく新鮮)」との表示あり)や、セットに入ってきたレインボースイスチャードという野菜を生まれて初めて手にすることになって、ちょっとしたうきうき気分を味わうことができた。珍しい食材の紹介やおすすめの調理法もよく添えられているので、閉ざされた生活の中で新しいことを知るささやかな喜びを感じることも多い。

卸売業者や産地からの配達は、配送業者ではなく、その店で働くらしい人が来ることが多いのもおもしろい。配達が立て込んでいるのか、サンキューとだけ言って去る人がほとんどだが、その視線に「買ってくれてありがとう、味わってね」というメッセージを感じる(気がする)。珍しい食材について語りたいという顔をしている(気がする)。

わが家は夫が料理好きで助かっているが、それでも2人ともご飯を作るのがめんどうになることもある。そんな時はもちろんテイクアウト(ちなみにイギリス英語ではtake away)。テイクアウトだけでは採算がとれないと判断して閉めてしまう店も残念ながらあるものの、少しでも飲食店の支援になればと、わが家ではわりとよくお世話になっている。お金も使わなくてはね。

テイクアウトには、ネットで決済して店で受け取るクリック&コレクトという方法と、食材同様に宅配、日本風に言うと出前してくれる方法があり、小さな店では出前を専門の業者に依頼していることが多い。業者には日本でもおなじみのUber Eatsのほかに、Deliveroo(デリバルー)、Just Eat(ジャストイート)などがよく使われていて、それぞれのサイトで予約して食事を届けてもらうことになる。出前業者を経由すると飲食店は手数料を払うことになるので収入が減ってしまう。だからできるだけ店に直接やりとりしたいとしばらく思い込んでいたのだが、それは出前業者の収入、ひいては配達する個人の収入につながるのかと気づいてからはどの方法でも気にならなくなった。

ある日曜、近所のパブでテイクアウトした。メニューからわたしが選んだのはローストビーフ。日曜に家やパブの食卓を囲んで食べるロースト料理の定番で、これぞ家庭料理というべきものだ。コロナ前なら持ち帰り用のメニューに入るなんて考えられなかったもののひとつだろう。英国人の夫も「ローストのテイクアウトなんて生まれて初めて見た!」と大興奮していたが、これもコロナ禍の思わぬお楽しみということで。

たべもの - 2.jpg

(この何やら情けなく見える食べものはパブからのテイクアウトの箱に入っているローストビーフとローストポテト。食卓で見るローストビーフにはほど遠くて思わず笑ってしまった。が、添えられた野菜やグレイビー(肉汁のソース)と一緒に組み立てていくと、最初の写真のようにローストビーフらしくなった。筆者撮影)

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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