最新記事
アメリカ大統領選挙

米大統領選挙後の近未来を予測「もしトランプが再選したら」その時、日本はどうなる!?

IF TRUMP WINS

2024年3月21日(木)20時54分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

newsweekjp_20240321040101.jpg

トランプが最も敬意を寄せる外国の指導者はプーチンかもしれない MIKHAIL KLIMENTYEVーSPUTNIKーKREMLINーREUTERS

プーチンは憲法を改正して大統領を最長2036年まで務められるようにし、歴史上の皇帝たちと肩を並べ始めた。

2期目のトランプはこの精神を見習うだろう。

彼が追い抜きたいのはバラク・オバマやジョー・バイデンではない。

ジョージ・ワシントンやエイブラハム・リンカーンのレガシーを超えることだ。

こうしたトランプの心理を踏まえた上で、彼が抱えている4件の刑事裁判という障害を乗り越え、景気後退期でもないのに現職大統領を破って歴史を覆した場合に、一体何が起こるのか。

各分野について現時点でベストと思われる予測を試みた。

◇ ◇ ◇


外交政策

まず何をおいてもトランプは、メキシコ国境からの不法移民流入に断固とした姿勢を示す。

1期目をイスラム教徒が多い特定の国からの入国を禁止することから始めたように、トランプは劇的な動きを見せるはずだ。

そうすることで、これが最優先事項であり、レガシーにつながる問題であることを示そうとする。

トランプはこの動きに軍を使うだろう。

彼がNATOやウクライナ戦争、第2次大戦後の安保体制全般から手を引くことを正当化するため口にする理由の1つは、軍の活動の中心を国土の防衛に再び据えることだ。

トランプは好意を抱く人物に全面的に懸ける。ウクライナ戦争の交渉による解決はプーチンに有利に働き、北朝鮮の金正恩総書記は統治の正統性と核保有の承認を勝ち取る。

日本はNATOに関するトランプの発言に注意すべきだ。

NATO加盟国が軍事費を相応に負担しないならプーチンに攻撃を促すと1期目に述べたことは、彼の思考回路に合致する。

自分(アメリカ)を「利用」しようとする勢力は何であれ、たたきつぶされるのがふさわしいのだ。

newsweekjp_20240321040027.jpg

2期目のトランプ政権で北朝鮮の金正恩は核保有の承認を勝ち取りそうだ JONATHAN ERNSTーREUTERS

中国がアジアで覇権主義的な行動を強めるなか、トランプは韓国と日本がアメリカの軍事力に頼りすぎていると間違いなく非難する。

彼は両国に軍事力の増強を求めるだろう。

しかしトランプは、すぐに心変わりをするタイプだ。

プーチンがトランプのことを嘲ったり、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が彼を称賛しているという記録を側近がリークし、見事に軌道修正を成し遂げることもあり得る。

トランプの反応を正確に予測するのが不可能なのと同じく、こうした驚きのシナリオが成り立ち得ることは、彼の1期目に世界がむしろ平穏だった理由の1つかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

街角景気、4月DIは1年8カ月ぶり低水準 円安によ

ワールド

エクソンCEOの取締役会議長再任、カルパースが反対

ビジネス

豊田織、日銀の清水季子理事が社外取締役に内定

ビジネス

英GDP、第1四半期は予想上回る前期比0.6%増 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 4

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 7

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中