最新記事

新型コロナウイルス

中国からの入国者をめぐる韓国の混乱......陰性証明書でも陽性に、陽性判定者は逃走

2023年1月18日(水)19時40分
佐々木和義

陰性証明を提示しながら陽性判定となる人が多かった...... Arirang News-YouTube

<韓国政府は1月5日以降、中国から韓国に向かう便の搭乗者に陰性証明書の提出を義務付けたが、陰性証明を提示しながら陽性判定となる人が多いなど混乱が続いた......>

2023年1月10日、中国は韓国人と日本人へのビザ発給を停止した。同日午後1時過ぎ、韓国駐在の中国大使館が「韓国駐在の中国大使館および領事館は韓国国民への中国短期ビザの発給を中断する」と発表し、同日夜、日本駐在の中国大使館が「日本人に対する普通ビザの発給を停止する」と発表した。併せて「入国制限措置の取り消し状況によって調整予定」と発表しており、日本と韓国の水際対策に対する報復措置とみられている。

2022年12月20日時点、非公開の会議録で感染者2.5億人?

中国国家衛生健康委員会は2022年12月20日時点の新型コロナウイルス感染症の国内累計感染者を3030人と発表したが、非公開の会議録には2.5億人と書かれていたという。

各地方の疾病予防コントロールセンターの発表を総合すると6割から8割が感染した可能性がある。各国が発表した2022年末時点の感染者は総計6億6000万人余だが、それとは別に中国だけで6億人以上が感染したことになる。

中国の疾病予防コントロールセンターは、大規模なPCR検査が実施されていないため、体感と統計は違うことがあると濁している。

仁川空港、検査を受けた590人のうち、136人が陽性

中国政府は1月8日以降、入国者の隔離措置を廃止した。一方、韓国は1月2日から中国発の入国者にPCR検査を義務付けた。中国から入国した陽性判定者は、昨年10月は15人で11月も19人だったが、12月には349人まで増加した。

短期滞在の外国人は空港や港湾に設けられた検査所で検査を受け、長期滞在の外国人と韓国人は居住地の保健所で検査を受ける。

検査初日の1月2日、仁川空港から入国した1052人のうち短期滞在者309人が空港で検査を受けて61人に感染が見つかった。翌3日には検査を受けた590人のうち、136人が陽性だった。

陰性証明を提示しながら陽性判定となる人が多い

韓国政府は5日以降、中国から韓国に向かう便の搭乗者に陰性証明書の提出を義務付けた。4日に31.4%だった陽性率は、5日には12.6%に下がったが、6日には23.5%まで増加した。陰性証明を提示しながら陽性判定となる人が多いため、当局は中国からの入国者の検査を継続する方針を明らかにした。

空港で検査を受ける中国人は不満を露わにする。空港で検査を受ける対象者は黄色い入国カードを首から提げ、軍人の誘導にしたがって検査所に向かう。

赤いカードを使ったところ識別が厳しかったため黄色いカードに変更し、検疫人材の不足から軍支援団の協力を受けたが、中国環球時報はイエローカードと軍人の誘導をまるで犯罪者扱いだと社説で論じた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中