最新記事

インド

「親指の皮を分厚く切り落とした」指紋偽装した男たちが逮捕...鉄道採用試験で不正 インド

2022年10月17日(月)16時15分
青葉やまと

インドでは国営の鉄道企業は安定した就職先として人気を集めている......(写真はイメージ) REUTERS/Danish Siddiqui

<インドでは国営の鉄道企業が大口採用を続けており、安定した就職先として人気を集めている。しかし、就職競争は熾烈だ。別人になりすますため、親指の皮を剥いで別の男の指に被せていた......>

インドで行われた鉄道採用試験でなりすましを行ったとして、男2人が逮捕された。他人の指の皮を使い、生体認証を突破しようとした疑いがもたれている。

現地ニュースメディアの「ニュース・ナインは、「鉄道の職を得ようと必死になった受験者が、熱したフライパンを使って親指の皮を剥がし、友人の親指に貼り付けた。友人が生体認証を突破し、身代わりで採用試験を受けてくれると期待して」と報じている。ほか、インディアン・エクスプレス紙など多数が報じた。

報道によると26歳男性のマニシュ・シャンブナート容疑者は試験の3日前、左手の親指の皮膚をぶ厚く切り取り、替え玉受験者として雇った22歳男性のラージャグル・グッタ容疑者に渡したと供述している。

グッタ容疑者はそれを受け取ると、ポリ袋に入れて持ち運び、試験会場の手前で自らの指のうえから貼り付けた。指紋認証を突破しようとしたがうまく認識されず、不審に思った試験会場の監視員に見抜かれることとなった。

インドでは公的機関として各州に鉄道採用委員会が設けられ、それぞれ鉄道関係職員の採用試験を実施している。試験は数種類があるが、このうち西部グジャラート州で実施された鉄道採用支部レベル1と呼ばれる試験において不正が発覚した。

国民IDカードに登録された指紋と照合

インディアン・エクスプレス紙が報じたところによると、問題の試験は8月22日の午後5時から1時間半の予定で実施された。この日は645人の受験者が会場に集まっており、不正はこの日の第3回目の実施区分で発生したという。

受験者たちは試験会場4階にある複数の部屋に分けられ、各部屋の入り口に設置してある指紋認証機で本人確認を受ける流れだった。

インドでは「アドハー」と呼ばれる国民番号制度が用いられている。この制度のもとで発行された身分証には、名前や顔写真などが印刷されているほか、指紋による虹彩の生体認証情報が登録されている。

替え玉受験を行うにあたり、顔写真の確認については、マスクの着用で誤魔化すことができた模様だ。首都ニューデリーでは8月、感染拡大に伴いマスク着用義務を再導入している。

問題は、会場で照合される指紋情報だった。そこで依頼者の26歳男性は、自らの指を削ぐことにしたようだ。現地警察によると、容疑者は自らの「左手の親指の皮を分厚く切り落とした」と供述している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ゴールドマン、副会長に元ダラス地区連銀総裁のカプラ

ワールド

24年の世界石油需要見通し引き下げ、生産予想は上方

ビジネス

AI、政策金利を決める判断力はない=シンガポール中

ワールド

米政府、ファーウェイ向け半導体などの製品輸出許可取
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中