中絶「合憲」覆す草案のリーク、米最高裁の保守・リベラルのきしみ鮮明に
ゴーサッチ判事とリベラル派のソニア・ソトマイヤー判事は1月、「私たちは時に法を巡って意見が異なることがあるかもしれないが、暖かい同僚であり、友人だ」という共同声明を出した。新型コロナ感染のリスク要因である糖尿病を患うソトマイヤー氏が、ゴーサッチ氏にマスク着用を求めたと報道された後の出来事だ。
最高裁は6月末までに人工妊娠中絶の合憲性を巡る訴訟について判決を下す見通し。それ以外にも、銃保有の権利を大きく拡大するチャンスを保守派に与える事例について同時期までに判決を下すとみられる。大学が黒人とヒスパニック系の学生の入学を増やすために使っている政策を、保守派が撤廃できるようにする事案についても審議している。
最高裁は1月、大企業に新型コロナのワクチン接種もしくは検査を義務付けるバイデン大統領の措置を差し止めた。昨年は、テキサス州が「ロー対ウェード」判決を回避する法律を執行することを認めた。
共和党による画策
リベラル派は今も、共和党がトランプ氏の任期中に3人の保守派判事を任命できるよう画策したことに怒っている。
2016年当時に上院で過半数を占めていた共和党は、オバマ元大統領が指名した判事候補の検討を拒否してポストを1つ空席にしておき、17年になってトランプ氏が指名できるようにした。しかし共和党は、リベラル派のルース・ギンズバーグ判事が死去した際には急いで後任を承認した。トランプ氏が大統領選で敗北する直前のことだった。
共和党の一部は今回、根拠を示さないまま、左派が草案をリークしたと主張しようとしている。
コロンビア法科大学院のデービッド・ポーゼン教授によると、司法の意見についての草案をリークすることを具体的に禁じる刑法は存在しないが、政府の重要な財産の窃盗を禁じる法律など、他の連邦法が適用できる可能性はある。政府関係のリークが訴追されることはまれで、訴追事例は普通、国家安全保障に関わる機密情報に関するものだ。
リークした人が特定された場合、刑事訴追されることは考え難く、職を失うなど他の影響を受ける可能性があるという。
(Lawrence Hurley記者)
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