最新記事

韓国

韓国、新型コロナ新規感染者世界最多 政府はさらに規制緩和

2022年3月23日(水)13時54分
佐々木和義

PCR検査、病院、葬儀場も混乱......

韓国医療機関も混乱状態に陥っている。韓国政府はこれまでPCR検査で感染有無を判断していたが、受検者が急増し、結果通知まで時間がかかるようになった。そこで、医療機関の迅速抗原検査でも感染有無を判断できることにしたのである。

PCR検査の結果通知は早くても翌日朝だが、医療機関の迅速抗原検査はすぐに結果が判明し、陽性が確認されたら診療と処方を受けられる。

検査が可能な病院に希望者が殺到、1時間からなかには3時間以上も並んだ人もいるという。医療機関は陽性者を見つけたら患者名と住民登録番号、住所、症状、職業などを登録することが義務付けられるが、受検者の急増で手が回らない状態だ。京畿道富川市のある医院の院長は「半日で陽性者が約40人出た。昼食抜きで患者を診ており、いつ届出ができるかわからない」と不満を吐露した。

葬儀場も深刻だ。韓国の葬儀場は多くが大病院に併設されており、遺体を病院に隣接する葬儀場に移して弔問を受け、葬儀が執り行われるが、遺体安置所が不足しており、さらには感染した遺体の引取りを拒否する遺族も現れた。死亡者は感染が拡大した2-3週間後に増えることから、3月末にはさらに増えると見られている。

文在寅大統領は沈黙したまま

大韓医師協会が「性急な防疫緩和は国民を危険にさらす」と懸念するなか、政府はさらに規制を緩和した。3月21日以降、私的会合の制限を8人に緩和し、ワクチン接種の完了を登録した海外からの入国者の隔離を免除する。4月1日からは未登録の接種完了者も隔離が免除される。韓国より感染者が少ない国からの入国者の隔離に意味がないだろうが、これまで認められなかった公共交通機関も利用できるようになる。

新型コロナが猛威を振るいはじめた頃、K-防疫を自賛した文在寅大統領は沈黙したままだ。予防医学の専門家は、政府は防疫を放棄しただけでなく、国民の犠牲を前提に集団免疫の実験を行っていると批判している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル一時153.00円まで下落、日本政府は介入の有

ビジネス

米国株式市場=まちまち、FOMC受け

ビジネス

FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指

ビジネス

NY外為市場=ドル一時153円台に急落、介入観測が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 10

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中