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『歩けない』足にまつわるトラブルに、新たな選択肢が生まれる。

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2022年3月22日(火)11時00分

太田:閉塞性動脈硬化症はどんな体調の変化が起きるのでしょうか。

佐田:初期症状は、足が冷たくなったり、歩くと痺れたりといった症状が出ます。血管の病気と思わず、歳のせいにしたり、足腰が弱ったためだと考える患者様も多い。典型的な症状は、じっとしているとなんともないけれど歩き出すと足が痺れる、痛い、歩けないといったもので、片方の足から症状が出てくるケースが多いです。腰部脊柱管狭窄症と症状が似ているのですが、その場合には両足に出ることが多いです。

森下:動脈硬化の検査は「足だけ」「心臓や脳だけ」ではなく全身の検査も一緒に受けることが予防につながります。

生活習慣病治療を継続し、新たな治療法も検討する。

太田:診察の受け方や注意点について、アドバイスをお願いします。また患者様へ適切な医療を提供するための連携医療についてもご意見をお聞かせください。

佐田:患者様の多くはまず足病変の症状から大病院ではなく、かかりつけ医を受診されます。しかし、必ずしも循環器内科の先生ではないケースも多い。当機構の啓発活動を知っていただき、気になる場合はご自身で循環器内科を受診いただきたい。足が痛い場合、患者様は整形外科へ行かれることが多いですが、血管の動脈硬化の可能性が疑われずに、治療が遅れるケースもあります。私たちは、病診連携の会(※)を実践したり、プライマリケアを実践しているクリニックへ向けて、新しい治療法の紹介をしたりするなど、様々な情報提供や意見交換を行い、連携を深めるよう努めています。

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太田:診断と検査の方法についてどのようなものがありますか。

森下:まずは足の痛み等から整形外科の先生に診てもらうことが多いと思いますが、病因が整形外科的要素ではない場合には、動脈硬化が原因である可能性が高いため循環器内科を紹介してもらうのが良いと思います。

佐田:循環器内科では、まず脈が触れるかどうかを確認します。ABIという足の血圧と手の血圧を計測する検査で血管の広がり具合を、血管エコーで狭窄の有無などを確認します。場合によって造影CT、MRIアンギオ、カテーテル、サーモグラフィなど、非侵襲的な検査で進行の度合いを確認します。

太田:治療はどのようなものがあるのですか?

森下:生活習慣病の治療を継続することが基本です。それでも痛みが軽減されない場合には、血管の造影を行い、狭窄している箇所を確認します。血管を広げるバルーン療法、血管置換術、バイパス術などの外科治療を選択します。ただし、すでに心筋梗塞を発症した方や再発を繰り返している方は外科治療が困難なことが多く、足の切断に至ることも良くありました。2019年から血管を再生する遺伝子を利用した治療法が認められ、保険適用になり、今まで思うように治療が進まなかった患者さんにとっては新しい治療の選択肢ができました。

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太田:足の血行障害を起こした患者さんが日常生活で気をつけるべきポイントはありますか。「足の疲労」との違いはどのような点ですか。

佐田:検査を早い段階に受けていただくとともに、生活習慣病の治療、禁煙が大切です。症状が進むと治療の選択肢も減るからです。

森下:足の動脈硬化から治らない潰瘍ができることで、場合によっては足を切断しなければならない病気になることを知っていただきたい。特に生活習慣病がある方は、足の痛みの原因が疲労ではない場合があるので、血管の検査を受けていただきたいと思います。心筋梗塞や脳梗塞をされた方も足の動脈硬化が進んでいる場合があるので、同時に検査をおすすめします。

太田:「第2の心臓」ともいわれる、私たちのかけがえのない大切な足。日頃から検診を受けて、健やかな生活を心がけたいですね。

※それぞれの医療機関の機能に応じて役割を分担し(機能分化)、患者さんの状態に応じて医療機関同士が協力(連携)することで効率の良い医療を目指すこと

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