最新記事

米政治

米共和党内に顕在化しはじめた反トランプ派の動き、上院トップのマコネルが支援

Trump vs. McConnell: Top Republicans Fight Over Future of GOP

2022年2月14日(月)17時59分
ジェイソン・レモン

現在のところ、共和党は連邦議会襲撃事件についてもバイデンが合法的に選ばれた大統領であるかどうかについても意見を統一できずにいる。共和党全国委員会(RNC)は4日、トランプを批判し、議会襲撃事件を調査する下院特別委員会の委員になったにアダム・キンジンガー下院議員とリズ・チェイニー下院議員に対する問責決議を採択した。

これ対しマコネルは「(RNCは)多数派とは異なる考えを持っているかも知れない党のメンバーをやり玉に挙げる」べきではないと批判。ちなみにチェイニーはトランプが推す候補と予備選で戦っている。キンジンジャーは次の選挙には出馬しないことを決めている。

「われわれはそれ(議会襲撃事件)が起きたのをこの目で見ている。暴力的な反乱であり、その狙いは合法性を認められた選挙で平和的に権力が移行するのを妨害することだった」とマコネルは記者団に語った。

この発言を受けてトランプは、マコネルを批判する声明を出した。「ミッチ・マコネルの老いぼれカラスに言わせれば、民主党の歩く宣伝工作リズ・チェイニーや泣き虫アダム・キンジンガーをRNCが問責することは共和党の本質に反するらしい」

古き良き共和党は帰ってくるか

中間選挙対策を巡っては、マコネルは反トランプ派の大物上院議員たちの支援も取り付けている。ニューヨーク・タイムズによれば、反トランプで知られるメリーランド州のラリー・ホーガン知事に上院選出馬を働きかけるため、ミット・ロムニー上院議員やスーザン・コリンズ上院議員が駆り出されたという。

コリンズは昨年のトランプに対する弾劾裁判で有罪に票を投じた。ニューヨーク・タイムズに対し「トランプ(前)大統領など怖れるに足らず」と述べている。

ホーガンは今のところ上院選出馬の予定はないものの、トランプとトランプと共同歩調を取る党内のグループを繰り返し批判してきた。

ホーガンは13日、CNNに対し、党内で攻撃合戦が起きているとした上で「私が取り戻したいと思う(本来の)共和党とは、自由と真実を信じ、親愛なる指導者に100%の忠誠を誓わなくても誰からも攻撃されたりしない党だ」と述べた。

党内抗争の勝者となるのがマコネル派なのかトランプ派なのかは予断を許さない。しかし、たとえトランプが政治の舞台から退場したところで、彼が変えてしまった共和党の姿は元には戻らないだろう。

「緊張とは、(いったん表に出てしまえば)瓶の中に戻すことができないものだ」とノエルは本誌に語った。「もしトランプが明日、政界から姿を消したところで、彼が力を授けた党内の分子がいなくなるわけではない」

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、4月は19.2万人増 予想上回る

ビジネス

EXCLUSIVE-米シティ、融資で多額損失発生も

ビジネス

イエレン米財務長官、FRB独立の重要性など主張へ 

ビジネス

米3月求人件数848.8万件、約3年ぶり低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 8

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中