最新記事

熱波

東アジアでも日本の気温上昇が顕著──グリーンピース報告

2021年8月10日(火)18時45分
松丸さとみ

東京では20年で約11日夏が早まった (写真は2018年)REUTERS/Kim Kyung-Hoon

<「グリーンピース・イースト・アジア」によると、東アジアで夏の到来が最も早まった都市は札幌だという>

東アジアの57都市のうち8割以上で、20年前と比べて夏の到来が早まっており、中でも札幌市は、調査対象となった都市の中で最もこの傾向が顕著であることが、グリーンピース・イースト・アジアがこのほど発表した報告書で明らかになった。

東京では20年で約11日夏が早まった

報告書は、国際環境保護団体グリーンピースの東アジア支部「グリーンピース・イースト・アジア」がまとめたもの。日本(21都市)、中国(28都市)、韓国(8都市)の計57都市で、気温を分析した。2001~2020年の20年間とその前の20年間(1981~2000年)で、夏の到来(その年で気温が初めて30度以上に達した日)を比較したほか、1960年代以降で「気温が非常に高くなった日」の日数を比較した。

夏の到来については、57都市中48都市で早まっていることが分かった。日本では気象庁のデータを元に、21都市を分析。その年に気温が初めて30度に達した日について、2001~2020年の平均値と、その前の20年間の平均値で比較したところ、18都市で日付が早くなっていた。

とりわけ顕著だったのが札幌市で、2001~2020年は、その前の20年間と比べて夏の到来が23.1日も早まった。この日数は、今回調査した57都市の中で最大。日本国内では仙台市(19.1日)と北九州市(17.1日)が続いた。

東京では、1981~2000年の夏の到来は平均で6月20日だったのが、2001~2020年では6月9日となり、10.9日早まった。

逆に、日本国内で夏の到来が遅くなっていたのは、神戸市マイナス2.7日、熊本市マイナス0.2日、静岡市マイナス0.1日の3都市だった。

中国では28都市中24都市が夏の到来が早まった。20年前と比べて最も早くなったのは湖南省の省都である長沙市の21.9日で、調査した都市全体としては、札幌市に次いで2番目の早さだった。また、南寧はマイナス6.0日で、57都市中夏の到来が最も遅くなっていた。

韓国は8都市中6都市で夏の到来が早まっており、一番顕著だったのは韓国南西部に位置する光州(クァンジュ)で、12.7日だった。

57都市中、夏の到来が早まった日数が多い10都市のうち、6つが日本の都市だった。

<夏の到来が早まった10都市>
札幌市 23.1日
長沙市(中国) 21.9日
仙台市 19.1日
北九州市 17.1日
青島市(中国) 16.2日
千葉市 15.1日
浜松市 14.4日
広島市 13.9日
重慶市(中国) 13.8日
無錫市(中国) 13.7日

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

社会保険料負担の検討、NISA口座内所得は対象外=

ワールド

欧州で5G通信網の拡大を=ショルツ独首相

ワールド

訂正中韓外相が会談、「困難」でも安定追求 日中韓首

ビジネス

野村HD、2030年度の税前利益5000億円超目標
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 5

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 9

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 10

    自宅のリフォーム中、床下でショッキングな発見をし…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中