最新記事

東京五輪

バッハ会長の頭には「チャイニーズ・ピープル」しかない

2021年7月13日(火)21時50分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
IOCのバッハ会長

橋本聖子会長と会談するバッハ会長(7月13日、東京) Takashi Aoyama/REUTERS

バッハ会長が「日本人」を「中国人」と言い間違えたのは、ただ単なる「うっかりミス」だろうか?彼の頭には中国との利害関係しかなく、私たち日本人は東京2020を巡り「習近平+テドロス(WHO)+バッハ」の構図を直視しなければならない。

バッハ会長が「最も大切なのはチャイニーズ・ピープル」と

7月13日、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が、東京2020組織委員会の橋本聖子会長を表敬訪問した際、日本人の安全を訴える場面で「最も大切なチャイニーズ・ピープル」(中国の人々)と言い、あわてて「ジャパニーズ・ピープル」(日本の人々)と言い直す一幕があった。

その証拠は、こちらの報道で確認することができる。

動画の7分38秒あたりから注意深く観察していただきたい。

バッハ会長は次のように言っている。


――And now our common target is safe and secure games for everybody; for the athletes, for all the delegations, and most importantly also for the Chinese people......Japanese people.

この部分の和訳:


――そして今、私たちの共通の目標は、すべての人にとって安全で安心な大会であることです; 選手たち、すべての代表団、そして最も大切なチャイニーズ・ピープル(中国の人々)......(あ、いや)ジャパニーズ・ピープル(日本の人々)にとってです。

人は誰でも言い間違いはあると思うが、バッハ会長に限って、そして「日本人」を「中国人」と間違える場合に限っては、単なる「うっかりミス」で通り過ぎるわけにはいかないのである。

東京2020を巡る「習近平+テドロス+バッハ」の構図

これまで何度も書いてきたように、習近平はWHOのテドロス事務局長と「特別の仲」だし、バッハ会長とも「特別の仲」だ。

これに関しては、2020年1月31日のコラム<習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす> や2020年5月26日のコラム<バッハ会長らの日本侮辱発言の裏に習近平との緊密さ> あるいは2021年5月28日のコラム<バッハとテドロスは習近平と同じ船に:漕ぎ手は「玉砕」日本>などで、いやというほど書いてきた。

しかし、そのとき日本人の何人が、私の主張に理解を示してくれただろうか?

残念ながら、「遠藤が変なことを言っている」というコメントが少なからずあり、この3者の癒着が、どれほど日本人に災いをもたらすかを理解してくれた人は多くはない。

そこで今般、われわれ日本人の目の前でバッハ会長が「最も大切な日本人」を「最も大切な中国人」と、「うっかり?」言ってしまったことを契機に、ここでもう一度、私がなぜ警鐘を鳴らしているのかに関して、因果関係を明確にしておきたい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中