最新記事

宇宙旅行

前澤友作氏も仲間入り...7人の大富豪たちはなぜ宇宙を目指したのか

Billionaires in Space

2021年7月1日(木)18時07分
ディーリア・マリネスク

その後も毎年のように、どこかの大金持ちがロシアの宇宙船をチャーターして宇宙へ飛んできた。

2番手は02年の南アフリカ人マーク・シャトルワース。ロシアの宇宙飛行訓練施設で過ごした7カ月を含め、約1年に及ぶ準備の末にISSまで行き、8日間の滞在でエイズ関連の実験やゲノム関連の研究に参加した。

3人目は05年のアメリカ人グレゴリー・オルセン。彼は「旅行者」と呼ばれるのを嫌い、自分は「宇宙飛行の参加者」だと言っていた。

出発前、彼は英BBCの取材に対し、「旅行者と呼ばれたら、私の努力もガガーリン宇宙飛行士訓練センターで私を鍛えてくれた人たちの仕事も報われない」と語っていた(オルセンの場合、訓練は1年半に及んだ)。

お次は06年のイラン系アメリカ人女性のアニューシャ・アンサリ。実業家でエンジニアでもあり、女性として世界初の宇宙「旅行者」となった。「女性が科学技術系の仕事に就きにくい国に暮らす若い人たちに希望を与えたかった」と、彼女は語っている。

自腹で2回、宇宙に行った民間人

オルセン同様、彼女も「旅行者」と呼ばれるのを嫌った。「お金を払ってチケットを買い、すぐにどこかへ出掛けるのが旅行者であり、私みたいに水中や陸上で半年も訓練を受けないし、宇宙船のシステムを学ぶこともしない」

アンサリはISSに9日間滞在し、貧血や腰痛、宇宙の放射線がISS乗員や微生物に及ぼす影響に関するさまざまな実験に参加した。

翌07年には、ハンガリー系アメリカ人の実業家チャールズ・シモーニが宇宙を訪れた。彼は09年にも宇宙を訪れ、自腹で2回も宇宙旅行をした初の民間人となった。

08年にはイギリス系アメリカ人のリチャード・ギャリオットが6人目の宇宙旅行者となった。その翌年にはカナダ人でシルク・ドゥ・ソレイユの共同創設者ギー・ラリベルテが自腹でISSを訪れた(以後、ロシアに金を払って宇宙へ飛んだ人はいない)。

ラリベルテが宇宙へ行ったのは「人類が直面する水の問題」を訴えるためだった。ISS滞在中、彼は水資源の不足を訴えるために世界14の都市をネット中継で結び、詩の朗読や音楽を含むオンラインイベントを開催した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国海洋石油の元幹部を調査、重大な規律違反疑いで当

ワールド

豪中銀、政策金利据え置き 物価上昇圧力を警戒

ワールド

パレスチナ国連加盟決議案、総会で10日採決の可能性

ワールド

米公的年金・メディケア、積立金枯渇見通し後ずれ 経
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 2

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 7

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 10

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中