ニューヨークの新名所「リトルアイランド」の素晴らしさと、厳しい現実
The Big Problem With Little Island
リトルアイランドは、同じくニューヨークの緑地帯であるハイラインの過ちを繰り返している。廃線の高架上に建設されたハイライン(ディラーが出資者に名を連ねている)が開園したのは09年。「地域のためのプロジェクトだったが、そうはならなかった」と、建設を主導した1人、ロバート・ハモンドは言う。
リトルアイランドも「地元」のために造られた。ここの存在理由は、ハドソン川沿いに連なる公園の建設・運営を担うトラストにイベントスペースを提供することにある。
観光客だけが行く場所に
とはいえ、より広い意味では、リトルアイランドは観光名所として設計されている。ニューヨークで絶対訪れるべきセルフィースポット――それこそ、この公園の行く先だ。
現時点では午後の訪問には事前のオンライン予約が必要なため、近隣で働く人が仕事の後にふと立ち寄ったり、仲間同士が気軽に集まるのは無理だ。予約制でなくなっても、ガイド付きツアーのように窮屈な雰囲気は残るだろう。
ニューヨークで人の多さをぼやくなんて、大リーグの名捕手だったヨギ・ベラの迷言「あそこにはもう誰も行かなくなった。混み過ぎなんだもの」並みの矛盾だ。リゾート地コニー・アイランドの遊歩道や、ヤンキー・スタジアムの観客席のように、人であふれていてこそ最大の魅力を発揮する場所がある。
一方、ブルックリン橋の歩道のように、多くの通行者が押し寄せる影響を考慮しなかったせいで、構想が失敗に終わった場所もある。ニューヨークで最も新しい公園が同じ運命をたどっても不思議はない。そう言えば、名前も「リトル」アイランドだし......。
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