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育児休暇

「俺だって家事やってる」「なんでそういうことするの!」 夫が絶句する夫婦のかみ合わなさを証明したデータとは?

2021年5月30日(日)14時00分
前田晃平(マーケター/認定NPO法人フローレンス 代表室) *PRESIDENT Onlineからの転載
キッチンの洗い物

育休を取ってツラかったのは慣れない家事ではなく妻との喧嘩だったという前田氏。 ※写真はイメージです Yuji_Karaki - iStockphoto


長女誕生後、2カ月の育休を取得し、掃除も皿洗いも読み聞かせもする前田晃平さん。それでも不十分という妻。十分やっているつもりの家事育児が「単なるつもりだった」と思い知ることになったあるデータとは――。

※本稿は、前田晃平『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』(光文社)の一部を再編集したものです。

復帰して「仕事の方が楽じゃねーか!」と思った

私にとって、2カ月間の育休期間は本当に幸せな時間でした。こんなにじっくり家族と時間を共有できたのは初めてですし、何より、娘の成長を間近で見守ることができました。この機会をくれた会社のみんなと制度に、心から感謝しています。

......なんだけど! この"幸せ"って、美味しいものを食べた時の「幸せ〜♥」とか、温泉に入った時の「幸せ......♨」とはまったくニュアンスが違うんです。

たとえるなら、新入社員として取り組んだ初の大仕事の後に感じた、あの幸せです。右も左もわからないけど、やることだけは山積み。顧客に叱られ、先輩に熱い指導を受け、半ベソかきながら深夜までがっつり作業。取り組んでいる最中はめっちゃツライ。もうほんとツライ。でも、絶対に成果を出してやろうと何日も徹夜で頑張り、終わってみればキツかったことも含めてみんな良い思い出......からの「幸せ(T_T)」みたいな。私にとっての育休は、まさにそんな感じでした。

もう本当に正直なところ、復帰した時は「仕事の方が楽じゃねーか......!」って思ったもん......。

妻との喧嘩が激増

何がそんなにツラかったのかと思い返すと、まあ色々ありましたが、大きかったのは妻との喧嘩(負け戦)の激増です。ただでさえカオスな新生児育児の現場で、唯一の相棒がたいていピリピリムードというのが、精神的にきつかった。

ある日買い物から帰宅すると、机の上に、読めば夫婦円満になるという噂の『夫のトリセツ』『妻のトリセツ』(講談社+α新書、黒川伊保子〈編〉著。押しも押されもせぬベストセラー。みんな、悩んでるんだな......)が置いてありました。育児のヘルプに来てくれていたお義母さんが、二人の険悪ムードを見るに見かねて買ってきてくださったのです。

まだ取得率わずか7%の男性育休を取ったうえ、(当人の主観では)本気で育児に向き合っているはずなのに、なぜ喧嘩が増えてしまうのか。この原因を解明すべく、我が家の喧嘩勃発の瞬間を分析してみたところ、だいたい妻のこのひとことで開戦していることが判明。

「なんでそういうことするの? ちょっと考えればわかるでしょ!」

私がよかれと思って言ったりやったり(あるいは、やらなかったり)することが、なぜか妻の地雷を踏み抜くという怪奇。でも、このひとことが飛び出した時は、"ちょっと"どころか、雑巾並みに知恵を絞っても、私には全然わからない。そしてこの「なんで怒られてるのかわからない」という態度が、事態をさらに悪化させます。

後で妻の機嫌が良くなった時に怒った理由を聞いてみると、「そりゃ僕が悪かった」と思う場合もあれば「え〜〜〜」って思う場合もありました。

指示待ちパパが出来上がるまで
なんでこうなってしまうのか......、私のひねり出した結論は「育児に関する意思決定が妻に偏っているため」でした。うちの夫婦は、家事育児にかかわるタスクは平等に分担しています。ママにできてパパにできないのは、授乳くらいのもの。

しかし、この時期の育児に関する意思決定では、自然と妻の意思を優先するようになっていました。それは、母乳育児をしているかぎり、育児スケジュールが妻の肉体と直結してくるからです。

うちは母乳とミルクの混合栄養(母乳とミルクの両方を与えること)でしたが、妻はできる限り母乳の比率を増やしたいと考えていました。仮にですが、ここで私が「いやいや! 母乳は手間がかかるから効率を重視してミルクだけで育てようぜ!」と主張するのは、どうなのか......?

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