最新記事

新型コロナウイルス

ワクチン接種進むアメリカで「変異株の冬」に警戒が高まる

BEWARE A WINTER SURGE

2021年5月29日(土)08時10分
フレッド・グタール(本誌記者)

210601P18_CFY_03.jpg

議会下院でファウチ所長を非難したジョーダン議員 SUSAN WALSH-POOL-REUTERS

アンケート調査などでは、接種を拒むさまざまな理由が見て取れる。忙しい。危機感がない。ワクチンの安全性に対する懸念がある。医療・公衆衛生当局は信用できない。ワクチンの危険性を大げさに語り、コロナのリスクを過小評価する陰謀論も根強い。

モクダッドらはこうした事情も考慮し、秋までに接種を終えるアメリカ人は2億人から2億2500万人と予測している。

問題は涼しくなってから

この夏に関する限り、集団免疫ができていないことはあまり問題にならない。夏は屋外で過ごす人が増える。そして屋外ではウイルスが風に飛ばされて拡散するため、感染を引き起こしにくいからだ。

問題は気温が下がってからだ。人は閉め切った部屋で過ごす時間が増える。そうした部屋では空気中にウイルスが滞留しやすくなる(たばこの煙が籠もるのと同じだ)。だから感染リスクが高まる。

そうであれば、冬が来るまでにワクチン接種率を今よりも上げておく必要がある。モクダッドに言わせれば、望ましい水準は85%だ。

「あまり理解されていないが、こうしたウイルスの封じ込めに必要な集団免疫の水準は、夏場ならば低くてもいい」とモクダッドは言う。

「しかし冬にはずっと高い水準が求められる。ウイルスがずっと拡散しやすいからだ。これがアメリカを待ち受ける最大の課題だ」

冬になれば、このウイルスへの免疫ができていない反ワクチン派の人たちが大量に、自分で気付かないうちに感染してしまう恐れがある。しかもウイルスの変異株は増える一方だ。1億人以上のアメリカ人がワクチン接種で獲得した防御機構を擦り抜ける新種の変異株も登場してくるだろう。

それに、多くの国ではワクチン接種が始まったばかり。ウイルスは今後も突然変異を繰り返し、生存能力の高い変異株が生き残っていく。その脅威はまだまだ続く。

※後編に続く:ワクチンvs変異株、パンデミックが想定以上に長引く可能性

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮が短距離ミサイルを発射、日本のEEZ内への飛

ビジネス

株式・債券ファンド、いずれも約120億ドル流入=B

ワールド

中国、総合的な不動産対策発表 地方政府が住宅購入

ビジネス

アングル:米ダウ一時4万ドル台、3万ドルから3年半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 7

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 8

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 9

    日鉄のUSスチール買収、米が承認の可能性「ゼロ」─…

  • 10

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中