最新記事

感染症対策

チリ、コロナワクチン接種戦略変更 有効性踏まえ2回目接種を優先

2021年4月24日(土)11時01分

チリが新型コロナウイルスワクチンの接種について、1回目の接種ペースを落として2回目を優先する戦略に切り替えている。写真は2月、サンチアゴでドライブスルーのワクチン接種を受ける女性(2021年 ロイター/Ivan Alvarado)

チリが新型コロナウイルスワクチンの接種について、1回目の接種ペースを落として2回目を優先する戦略に切り替えている。供給不足への懸念に加え、接種戦略の柱となっている中国のシノバック・バイオテック(科興控股生物技術)製ワクチンを1回接種しても有効性が乏しいとのデータが示されたためだ。

チリは世界で最も新型コロナワクチンの接種が進んでいる国の1つ。人口約1900万人に対して既に1300万回以上の接種が終わったが、19日時点で倉庫に残っているのは約200万回分だ。

同国は年央までに人口の約8割に当たる1500万人に接種して一定の集団免疫を確保する戦略。しかし最近の接種ペースは1日に平均15万3000回と、3月の最大43万人から大きく減速している。

ロイターが観測した範囲では、首都サンティアゴ周辺のクリニックはいずれのワクチンについても接種ペースを落とし、希望者を断ったり、ワクチンが入荷するまで何時間も待つよう要請したりしている。

パリス保健相は19日、記者団に対し、新たなワクチンが入荷するまでに保有分を使い切ってしまわないよう、年齢グループごとに毎週、厳密な接種日程を策定していると説明。「落ち着いて対処する必要があると考えている。多くの企業と大量の契約を結んでおり、ワクチンは今後も到着し続ける」と述べた。

チリは7月までに1500万人に接種を施すことを目指しており、既にその5割以上が1回目の接種を、36%は2回目の接種を終えた。

ところが同国は3月に新型コロナ感染の第2波に見舞われた。この時期は夏の休暇シーズンの終わりにあたる上、英国とブラジルで最初に発見された感染力の高い変異株が広がっているという要因もある。

現在、1日に確認されている新規感染者は7000人前後で、サンティアゴのほか、多くの地域で厳格なロックダウン(都市封鎖)が実施されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英GDP、第1四半期は予想上回る前期比0.6%増 

ワールド

イスラエルの武器規定違反は認定せず、米国務省が近く

ワールド

プーチン大統領、ミシュスチン首相の続投提案 議会承

ビジネス

日経平均は反発、好決算物色が活発 朝高後は上げ幅縮
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 4

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 7

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中